MK7サプリvs納豆スタディ 骨の健康維持・増進への寄与 (2021.10.7)
貢献度高いのはサプリ
骨の健康維持増進に有効な栄養素・ビタミンK2(メナキノン)。この栄養素は食品から補給でき、動物性食品にはメナキノン(MK)‐4、発酵食品にはMK‐7がそれぞれ多く含まれることが知られる。そのうち、MK‐4と比べて吸収効率(バイオアベイラビリティ)に優れることが報告されているMK‐7は、特に納豆に多く含まれることで有名だ。勢い、ビタミンK2の補給は「納豆で十分。サプリは不要」論が一定の幅を利かせている。しかし、本当にそうか。
MK7供給のオムニカ実施
MK‐7を350マイクロ㌘含む納豆を週に1パック食べるのと、50マイクロ㌘のMK‐7サプリメントを1週間毎日摂取するのとでは、果たしてどちらが骨の健康維持・増進に有用か──。国内企業が最近そんな研究を行った。
この研究について語る前に、ビタミンK2と骨の健康維持増進機能の関係を簡単に整理しておく。
骨折リスクが高まる骨粗鬆症の予防を最大の目的にした骨の健康・維持増進のためには、加齢にう骨量や骨密度の減少を抑える必要がある。そのためには、「骨代謝バランス」を維持しなければならない。
骨代謝バランスとは骨芽細胞による「骨形成」と、破骨細胞による「骨吸収」のバランスのことで、加齢などによって後者(骨吸収)が優勢になると、骨密度の低下などが起こり、骨粗鬆症に至るリスクが高まる。
MK‐7などビタミンK2を食事から補給することは、骨代謝バランスの維持に有用だと考えられている。特に、骨の形成を巡っては、骨芽細胞が分泌する骨基質たんぱく質の1つ、オステオカルシンの働きを高めることが知られ、この機能に関しては特定保健用食品として表示が許可されてもいる。
サプリ、効率的に高まる血中濃度
前掲の国内企業による研究に話を戻す。
この研究はつまり、食べる頻度が不定期になりがちな納豆からMK‐7を補給するよりも、納豆に含まれるよりも少ないMK‐7を含むサプリメントを習慣的に摂取することの方が、骨の健康維持増進により資する──という仮説の下で進められたものだ。
実施者は、サプリメント向け原材料として粉末タイプのMK‐7の販売を手掛けるオムニカ(静岡県裾野市)。先月末までに中間結果がまとまった。
検証したのは、納豆あるいはMK‐7サプリメントを摂取した後の血中MK‐7濃度だ。結果、同濃度が高かったのは、週に1回、350マイクロ㌘のMK‐7を含む納豆1パックを食べる方ではなく、1週間毎日、1日あたり50マイクロ㌘のMK‐7サプリメントを摂取した方だったという。
被験者数は計4名と少ない。ただ、摂取したMK‐7の量はどちらも同じであったにもかかわらず、被験者の血中MK‐7濃度の平均値は、納豆が2.5ナノ㌘/㍉㍑、それに対してMK‐7サプリメントは3.8ナノ㌘/㍉㍑と、はっきりとした差がついた。
実は、この結果に類似する研究結果は以前から報告されている。MK‐7と比較したものではないが、納豆を週に1回摂取した程度では、骨代謝マーカーに有意な改善が見られなかった(週3回以上摂取ではその限りではない)、とする1年間にわたる長期試験の結果などがある。
少量を習慣的に摂取がポイント
「一度に量をたくさん摂るよりも、少量を習慣的にとり入れた方が、血液中のMK‐7濃度が効率的に高まり、骨代謝マーカーの改善効果も得やすくなるということ。それがダイエタリーサプリメントの役割であるし、『バランスの良い食事』という観点からも理に適っている」とオムニカでは話す。
実際、閉経後女性240名を対象に海外で行われた3年間の長期介入試験では、一般的な納豆に含まれるより少ないと考えられる1日あたり180マイクロ㌘程度のMK‐7を連続的に摂取することで、プラセボ群と比べて骨代謝マーカーの有意な改善や骨構造の維持が見られたと報告されている。
オムニカでは10月1日現在も研究を継続中。一連の研究には、同社が原材料販売を手掛ける「Vita MK7」を使用している。MK‐7の世界市場で過半数のシェアを持つとされるヨーロッパ企業が製造するもの。オムニカは同社製品の日本販売窓口を担っている。最終結果は今月中旬までにまとまる予定だ。