口腔ケア表示に対応へ 花椒オイルで臨床2件(2021.10.7)
オリザ油化が実施
オリザ油化(愛知県一宮市)が口腔ケア領域の新たな機能性関与成分(機能性表示食品)の開発と、届出サポートを行う準備を進めている。2019年に上市した花椒(かしょう)オイルについて、先月末までに2つの臨床試験を実施した。いずれもドライマウス(口の渇き)への有効性を検証したもので、以前から確認されていた唾液分泌量増加機能に関するエビデンスを積み上げた形だ。
エビデンスを積み上げ
花椒オイルは、痺れるような独特な辛さがあるため中国・四川料理などの調味料としても使われるミカン科サンショウ属植物、花椒の果皮を原料にしたもの。花椒に含まれる辛味成分のヒドロキシ‐α‐サンショオールを有効成分として規格化してある。アヴェデス(東京都新宿区)と共同開発した。
オリザ油化は花椒オイルの上市後、「サリバモイスト」として商標登録しブランド展開を開始した。
また、製品ラインナップも拡大。第1弾製品であるオイル品に加え、オイルをパウダーに加工した粉末品の大きく2製品について、食品からマウスウオッシュなど口腔洗浄剤まで原材料販売を進めている。
同社では今後、サリバモイストを口腔ケア領域の機能性表示食品対応素材として市場に展開していきたい考え。それを視野に、先月末までに2件の臨床試験を実施した。以前からアヴェデスと鶴見大学が臨床試験で確認していた唾液分泌量増加機能をオリザ油化として再確認するとともに、エビデンスの拡充を図った。
1つめの試験では、オイル品について、単回摂取試験を実施。2つめの試験では、ハードカプセルに充填した粉末品を飲み込んで摂取した場合の唾液分泌量増加機能を検証するための試験を2週間行った。
その結果、それぞれの試験で唾液分泌量の増加が確認された。特に2つめの試験では、対照群では変化が見られなかったのに対し、花椒オイル粉末摂取群は摂取開始1週間後に唾液分泌量が摂取前後比で有意に増加。摂取2週間後も同等の分泌量を維持していることが確認されたという。
花椒オイル(サリバモイスト)を摂取することで唾液分泌量が増加するメカニズムとしては、有効成分のヒドロキシ‐α‐サンショオールが唾液腺に存在するTRPV1などの侵害刺激受容体に結合することで、唾液の分泌促進につながると考察されている。