8月の家計調査 サプリ支出、いつ上向く(2021.10.21)


28%減今年最大の下げ幅 減少5カ月連続 9月調査注目
 サプリメントなど「健康保持用摂取品」に対する1世帯あたり支出額が減少し続けている。総務省統計局が10月8日公表した今年8月分の家計調査(2人以上世帯)によると、健康保持用摂取品の1世帯あたり支出額は1128円、前年同月比は物価変動の影響を除いた実質で28.2%のマイナスと大幅に落ち込んだ。減少は5カ月連続。月を追うごとに減少幅が広がっている形だ。

 8月の28%超の減少は、今年4月以降では最大の下げ幅。4月3.7%減→5月3.4%減→6月14.0%減→7月17.2%減と減少幅が広がりを見せている。ただ、8月の支出額を前の月と比較すると、約20円とわずかだが増えた。

 大幅減の背景には、支出額が急拡大した前年の反動があると考えられる。
 健康保持用摂取品に対する前年8月の支出額は、2016年8月以降では初となる1500円台に達し、前年同月比は実質で50%のプラスと大幅に伸びていた。

 減少が始まった今年4月から7月の前年数値を見ても、いずれの月も2ケタ増を記録。5月を除き20%超の割合で増加していた。

 28%超の減少となった今年8月の支出額を世帯別に見ると、勤労者世帯は1世帯あたり858円で、前年同月比は名目で18.0%のマイナス。健康保持用摂取品の主要な購入者層と考えられる無職世帯は、26.1%減の1387円とそれぞれ大幅に減少した。両世帯とも減少は3カ月連続。

 減少幅の大きかった無職世帯の今年6月以降の支出額推移を振り返ると、6月は1540円で前年同月比は名目18.5%減、7月は1426円で21.4%減、そして8月は1400円を割り込み、減少率が26%を超える流れになっている。

前年9月、22%減
 この連続マイナス記録はいつ止まるのか。
 可能性があるのは8月だ。9月は増加に転じることも考えられる。

 前の年の9月の支出額は1057円にとどまり、前年同月比は22.3%のマイナスと、それまで7カ月連続で続いていた連続増加記録をストップさせていた。

 しかし、もし、9月もマイナスが続けば、健康保持用摂取品に対する消費意欲が前年から相当落ち込んでいる可能性を強く憂慮する必要が生じる。次回の家計調査結果が注目される。

 一方、現状を楽観視できる要素もある。20年4~8月の健康保持用摂取品に対する支出額の増加は、新型コロナ禍を背景にした〝特需〟の影響を受けていた可能性があるためだ。

 実際、その前年19年1~8月と、今年の同時期の支出額累計を比較すると、今年の方が約580円上回っている。

 他方で、気になるデータもある。日本通信販売協会が会員企業123社を対象に行った今年8月の通販売上高調査の結果だ。同調査で健康食品の売上高は144億円。前年同月比は「0.0%」の横ばいだった。それまで14カ月連続で続いていた増加がストップした形だ。

 ただ、総務省の商業動態統計調査でドラッグストアにおける今年8月の健康食品の販売額の前年同月は2.5%のプラス。6カ月連続で増加した。

Clip to Evernote

ページトップ