R&Y LG生活健康の傘下に(2014.3.20)
プラセンタ健康食品の販売で業績を急拡大させている通販会社R&Y㈱(東京都港区・竹尾昌大代表)を、韓国生活用品大手のLG生活健康が買収した。2月7日に契約を締結し、全株式を取得。今後も日本企業の買収を進めると見られる。
LG生活は、ここ2年で日本の健康食品・化粧品販売会社を相次いで買収している。12年1月に銀座ステファニー化粧品の株式70%を91億円で取得、残りの株式も15年2月までに取得する予定。また、同年12月にはエバーライフの全株式を3300億ウオン(約258億円)で取得している。
R&Yでは譲渡金額を明らかにしていない。
同社の13年6月期売上高は前年同期比約42%増の52億円。今期は同25%増の64億円を見込む。主力製品は、デンマーク産のブタ由来プラセンタエキスを配合した健康食品「プラセンタ100」で、年商の9割以上を同品で弾き出している。
買収に伴いR&Yの社長には、ステファニー化粧品、エバーライフと同様、LG生活健康代表とLGグループ副会長を兼任する車錫勇(チャ・ソクヨン)氏が就いた。そのほかの役員構成も、両社とほぼ同じになる見通しだが、「登記簿上のもの」(R&Y広報)で常駐しない。
一方、R&Yの竹尾氏は今後、「R&Yの事業は事業部長に任せ、LG(生活)の日本事業を中心にやっていく」という。
R&Yの竹尾昌大前代表に聞く LG生活に譲渡の狙いは?
R&Yの竹尾昌大前代表に株式譲渡の目的やグループ会社との協働などについて聞いた。(聞き手=本紙編集部記者・高山透、構成=同石川太郎)
──株式譲渡の目的は。
今後の健康食品販売会社は小資本では成り立たない。小資本より大資本の方が、機能性表示も多くできるだろう。広告のバイイング単価も高まっている。その中でも(小資本の)当社はこれまで業績を伸ばしてきた。だが、次のステージに向かうために、資本力と研究力を持ち、長期的視野で成長を目指せる先と組む必要があった。
──株主から反対する声はなかったか。
時価総額が高まった時点で売却しようと株主と以前から話していた。これ以上大きくなると買収できる先が限られてくるのが当然で、反対の声はまったくなかった。売却先候補には国内大手企業もあった。LGとは縁があってつながった。
──グループとの協働について。
R&Y単独では古参企業に勝てない。新規参入企業としては安くやれている方だが、広告のバイイングパワーに劣る。一方で、古参企業のエバーライフはその点で強みがある。エバーライフ、ステファニー、そして当社のそれぞれのインフラと強みをアレンジし、新しいビジネスモデルをつくることが重要。M&Aも進める。これにより、今後5年を目途に、日本で1000億円の売上を目指す。
──R&Yの代表から外れた。
R&Yはビジネスモデルがすでに確定されていることもあり、今後の事業展開は事業部長に任せる。私は、LG生活の日本事業をやっていく。今夏を目途に、買収3社の再編を行う予定だ。ステファニーやエバーライフにも関わりながら、他社のM&Aなどを検討していく。
──「プラセンタ100」について。プラセンタ食品のJHFA規格基準に原材料規格の点で、一部対応できないプラセンタエキスを配合している。
様子を見ているところだ。規格基準に合わせようと思えばいつでもできる。原料を切り替えればよい。ただ、JHFA規格(の内容)は果たして正しいのかどうか疑問だ。プラセンタ市場のすそ野を広げるためには、植物もマリンも取り込むべきだったのではないか。高額な原料を使えば、広告費用が圧迫される。マーケティングの観点からも(規格基準を)考える必要があると思う。
──今後どう拡販していくか。
株式譲渡に伴い、資本力と新たなチャンネルを手に入れた。これにより市場のすそ野を広げていく。店舗でも売れる商品をつくる。今後はメーカー的に動いていく。
──新しい機能性表示制度をどう見ている。
制度がどういうものになるかがまだ見えないが、対応できるように動いている。LGは強力な研究機関を備えている。そこで、商品としても、原料としても、エビデンスを取得していきたい。LGでもプラセンタに関心を持っている。研究員も多く抱えており、これから楽しみだ。