キリン、ヘルスサイエンス事業で新たな成長戦略 BtoCに経営資源を集中 30年迄に売上3000億円に(2024.12.23)
キリンホールディングス(東京都中野区)は、2030年までに売上規模3000億円、事業利益300億円を生み出す、ヘルスサイエンス(HS)事業の新たな成長戦略を打ち出した。18日に行われた機関投資家向けの「インベスターデイ2024」で明かした。
ヘルスサイエンス事業の成長戦略について同社では、昨年買収した豪州のブラックモアズ社、ファンケルの子会社化、協和発酵バイオの構造改革の3点をもって、持続的な事業の成長・利益の向上を加速させる方針。そのうち、先ごろ発表された子会社の協和発酵バイオのアミノ酸とヒトミルトオリゴ糖の事業を売却することで、シチコリンなどのスペシャリティ素材事業のみを担う体制に変わることになり、「キリングループはヘルスサイエンスにおいて、よりBtoC事業に経営資源を集中させることができる体制が整った」(南方健志社長)としている。
同事業の今後の成長戦略について、吉村透留取締役・ヘルスサイエンス戦略担当が説明。キリンの市場リサーチ力、ファンケルの直営店舗や通販など複合的な購買データからのデータ分析力、ブラックモアズのアジア・パシフィック主要国での消費者調査のノウハウを組合せて新たなサプリメントなど商品開発に活用させる。具体的には、独自素材のプラズマ乳酸菌の海外展開の促進。すでにキリン単独で19年にベトナムに展開しているが、ファンケルとブラックモアズと協力し、25年に台湾で新たな商品を投入する。25年以降は豪州や東南アジアなど展開エリアを広げる考え。
国内においては、キリンとファンケルの双方の強みの異なるブランドとチャネルを活用し、グループの付加価値を創出する。販売基盤を一体化させることで、2~3%とされる国内のサプリメント市場の成長率を大きく上回るスピードで成長させ、サプリメント事業を国内トップクラスの規模感に引き上げる方針だ。