不実証広告規制も対象が濃厚 課徴金導入議論進む(2014.3.20)

課徴金制度

 景品表示法の課徴金制度導入議論が進んでいる。消費者委員会は2月から専門調査会を設置して議論を開始。2回目以降は本委員会との合同会議として検討を進めており、これまでに制度を導入することでは合意に至った。今月中にはこれまでの議論を中間整理としてまとめたあと、4月以降もさらに議論を進めて今夏にも最終報告を取りまとめる予定だ。

 課徴金制度の導入は、不当表示で得た利益を吐き出させるという、いわゆる「やり得」のはく奪と、不当表示を抑止する目的で議論が進められているもの。消費者庁設置以前も導入が検討されており、2008年には課徴金制度導入を盛り込んだ同法改正法案が国会に提出されたが廃案となっている。また、同年の消費者庁設置法施行に伴う関係法整備に関する法案審議の際にも取り上げられたが、結局法案には盛り込まれなかった。

 だが、その後も同庁の研究会報告などにおいて、被害者救済や不当表示抑止の観点から必要だとの指摘や、庁内での検討は続けられ、今回、メニュー表示偽装をきっかけとする適正化対策の一環として再浮上、一気に制度導入に向け走り出した。

 消費者委員会での議論はまだ途中だが、これまでに制度を導入することでは委員の合意を得た。さらに、18日の会議では、対象事案について議論が行われ、優良誤認・有利誤認(同法4条第1項)の違反事案のほか、不実証広告規制(同法4条第2項)の違反事例についても対象に含めることを多くの委員が支持した。一方で、誤認の恐れがある事案を対象にした指定告示(同4条第1項第3号)については対象外とすることで議論が進んだ。

 不実証広告規制は表示の裏付けとなる合理的な根拠を事業者に求め、根拠がなければ不当表示とみなすもの。行政の立証が緩和されていることや、消費者の被害拡大防止のため速やかに処分を行うという、機動性を重視した規制であるため、08年の同法改正案では対象から外されていた。

 この日の議論では調査会としての最終判断は行わず、不実証広告規制が対象となるかは決着していないが、他の違反事案との整合性も問われただけに、対象に含まれる可能性は高まったといえる。

 同日はほかにも、不当表示が意図的であるかなど主観的要素を要件に含めるかも議論された。課徴金制度がある独占禁止法や金融商品取引法では主観的要素は要件に含まれておらず、委員からも主観的要素は含むべきではないとの意見が多かったが、事業者が委縮する懸念や、意図せずに不当表示となるケースもあるとして慎重な判断を求める意見もあり、このため、不当表示を意図的に行っていないケースは除外するなど、一定の例外を設ける方向で議論が進んだ。

 課徴金制度は、やりすぎれば事業者が委縮して経済活動に影響を及ぼすなど社会的な影響が無視できない。同委の会合ではこれまでに事業者からのヒアリングも行われているが、いずれも制度導入は否定しなかったものの、基準の明確化や悪質な違反行為や重過失に限定して適用するなど、事業者に一定の配慮を求める意見が多かった。実際に制度設計する際には慎重な検討が求められる。
【写真は3月18日開催の消費者委員会・課徴金制度専門調査会合同会議】

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