制度づくりへ業界結束を 機能性表示「失敗あり得る」(2013.7.25)
日本通信販売協会(JADMA)のサプリメント部会は19日、都内で会員限定のセミナーを開催。このなかで、内閣府の規制改革会議で委員を務める森下竜一氏が登壇、6月に閣議決定された政府の成長戦略(日本再興戦略)に盛り込まれた、健康食品の機能性表示を可能とする仕組みの整備などの規制緩和策について解説するとともに、今後の見通しについて、個人的な見解を語った。
森下氏は、規制改革会議で重視した視点の一つとして、ブレーキ(規制)を外し、国内産業の活性化や成長を促すことがあるなどと指摘。厚生労働省のいわゆる46通知を例に挙げ、当時は高成長時代で行き過ぎを抑止するためにもブレーキが必要だったが、低成長時代の今では必要ないと語り、出席した企業関係者に向け「邪魔なブレーキは外すので、企業は是非アクセルを踏んで欲しい」と求めた。
同氏はまた、海外との制度比較を行ったうえで、国内制度を最先端の制度に持っていくという、国際先端テストの導入の経緯を伝えたほか、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加を見越し、国内制度を最先端にしなければ、今後の競争に勝てないとの認識を示した。
そのうえで、成長戦略に盛り込まれた内容は全て関係省庁の了解の下、閣議決定されており、消費者庁、厚生労働省なども、この成長戦略の内容の通りに検討するということだと語り、業界内でも一部で声が上がる「制度実現は不可能」との懸念を打ち消す一方、「(制度づくりの)ボールは業界にある」とも指摘し、業界が一枚岩となり、制度づくりに取組まなければ、失敗もあり得ると警告した。
今後検討されることになる制度の中身についても個人的な見解として語り、米国などで表示が認められている成分については、日本人に合わせたうえで基本的に認めても良いのではないかと語る一方で、疾病の治療や病者を対象にするのはおかしいと指摘し、構造・機能の範囲内での表示が望ましいとしたほか、手本とする表示として韓国の健康機能食品の表示例を挙げた。
セミナーには主婦連合会事務局長の佐野真理子氏も登壇。主婦連は先月12日に規制改革会議の答申に盛り込まれた健康食品の規制改革に反対する要望書を関係省庁などに提出しており、この日も、日本再興戦略の施策の全てに反対するわけではないが、機能性表示を含む健康食品等の規制緩和については反対する立場を改めて表明した。同氏は、消費者にとっての規制緩和は「安全性、有効性」が従来と同等かそれ以上になることと語り、今後の制度づくりでこれが後退することに懸念を示したほか、年間1万件に及ぶ健康食品関係の消費者からの相談があることを重視、むしろ規制を強化すべきだと指摘した。特定保健用食品(トクホ)についても、特定の機能が表示できるトクホの審査に時間をかけるのは当然として、安易な審査手順の簡素化に反対する意向を示したほか、更新制の導入を求めた。