AIFN、ACCJ主催 「日本の法規制公開シンポジウム」基調討論~②(2014.5.8)

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AIFN、ACCJ主催 「日本の法規制公開シンポジウム」基調討論
「健康食品の規制緩和その意義とあり方」

竹中平蔵氏(慶應義塾大学教授) 「プリンシプルを政府 ルールづくりは民間で」
宮島和美氏(日本通信販売協会理事) 「GMPや届出制など果たすべき義務も」
関口洋一氏(健康食品産業協議会会長) 「個人、社会、企業 三方ともにメリットを」

消費者庁検討会に参加して

関口 「特に安全性について、アカデミアの方や消費者の方は非常に強い関心を持っている。例えば医薬品成分をいれたダイエット茶で健康被害を起こしたという例を委員の皆様も非常に鮮烈に覚えていらっしゃって、そういう点に意見が多く出た。機能性表示制度を良い制度にするために、そういうことをなくすように業界としてもやっていかないといけない」

 「私が属す健康食品産業協議会では、検討会と同時並行的に専門部会を開いている。出来れば来月中旬までに業界案をまとめていきたい。安全性の問題も含め、この制度は間口をあまり狭くするのはいけないと思っている。実態として健康食品のビジネスはいまあるのだから、いまビジネスをやっている中の特定の人だけしか新しい制度に参加できないというふうにはしたくない」

宮島 「検討会に出席してコンセプトがはっきりしているのは、お客様視点でものを考えるということ。お客さまからみたときに、健康食品、あるいは表示はどういうふうに見えやすいのか、分かりやすいのかということを考えようと努力している」

 「表示の規制緩和は誰のためかというと、日本の生活者のため。それを基軸にしたい。検討会では、例えば関与成分という話も出ているが、そういう細かいところで規制をかけるのではなく、もっと大きなかたちで参加できるような機能性表示の緩和を考えていくべきだ。お客様はやはり知る権利がある。何の表示もできないというのはおかしいし、商道徳に反していると私は思う。効能効果ということでなく、お客さまが誤認しないような機能性の表示は絶対に必要。そういう視点から検討会を進めていってもらいたい」

 「規制を緩和してもらうには、我々事業者の方にも果たすべき義務があると思う。個人的な意見だが、GMPの義務化や健康食品を製造販売している会社はなんらかの機関に登録する必要がある。許可制ではなく登録。届出制と言えばいいと思う。どういう商品をどういうかたちで販売しているのかを届ければ良いと思っている。また、つくる条件としては、GMPを義務化することで一定レベルの商品ができあがると思っている」

竹中 「検討会の当事者ではないので具体的にコメントする資格はない。ただ2点だけ、お二人のお話しから言えることは、一つはルールを変えるときはそのコストとベネフィットを明示的に議論すること。官僚的な視点から言うと、とにかく文句を言われないように、安全に安全を重ねて自分達のアリバイづくりをしようという傾向がどうしてもある。だが、そうした規制を続けることで失われている利益がいかに大きいのかということを証明していかないとならない」

 「もう一つは、こういう議論をする場合、それはプリンシプル(原理原則)なのか、それともルールなのかを明確にすること。プリンシプルを政府が示し、そのプリンシプルのもとでどういう具体的なルールをつくるかは民間の人たちに任せる。その方がむしろ柔軟なことができる。先ほどの宮島さんの話でいうと、一定の基準とプリンシプルを政府が示した後は、業界で自主的にルールをつくるという方法も考えられる」

健康食品の役割とは

竹中 「政府のルールに馴染むものと馴染まないものがある。政府があえてルールをつくれるものというのは極めて幅広い合意があるもの。定義が十分にできないなどの理由で、そこに政府が立ち入ることのリスクが大きい場合もある。だからルールなのかプリンシプルなのかと先ほど申し上げた。プリンシプルをつくるのは政府の役割だろうが、その後は、ルールが必要かどうかも含め、民間に委ねるというのが成熟した賢い市民社会のつくり方だと思う。オバマ大統領が安倍総理と寿司を食べに行ったが、その寿司屋には恐らく、保健所が出している安全だという基準と、ミシュランの三ツ星マークの両方がついている。政府がやるのは保健所の部分だけでよく、ミシュランの評価は政府でやってはいけない。そういうことを申し上げたい」

関口 「この制度を企業側としてきちんと動かしていくには、宮島さんもおっしゃられた通り、食べて下さる方たちのことを第一に考えた上で、個人、社会、企業の繁栄が一緒になるようなビジネスをやっていくべき。また、白黒がはっきりしない確率的な情報を上手に誇張なしに伝えていくのはなかなか難しい。私ども企業人としては、消費者の方たちに対する誤解のない伝わり方を研究していくべきだと思っている」

宮島 「サプリメントに対してひとつここは性善説に立ち、良い面をもう一度見直して欲しいと思う。ただし我々も、安全性はもちろん、研究レベルや製造技術の向上のほかコストの課題など、解決すべき、より進化すべきことは沢山ある。健康は幸せにつながる。それに寄与できるものは様々あるが、その中の一つがサプリメント。健康食品もその一端を担えるのだから、我々はこれからも精進していきたいと思っている」

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