CCC オーダーサプリ参入なぜ 5年で50億 現実味は(2014.5.8)
カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)のグループ会社、Tメディアホールディングスが新会社を立ち上げ、健康食品通販市場に参入した。レンタルDVDショップから図書館まで娯楽事業を幅広く展開する「TSUTAYA」が畑違いの事業を始めたなどとして話題を集めたが、「CCCのモットー『生活提案』が新事業のベース。異業種参入という認識はまったく当たらない」と同社では強調。また、いわゆる「オーダーメイドサプリメント」を提案する一方で、CCC最大の強みといえる「Tカード」によって蓄積された個人情報の活用のほか「Tポイント」との連携は、「一切していない」という。
ウェブマーケの強み生かす
先月16日からオーダーメイドサプリのネット通販を始めた新会社はTヘルスケア。CCCグループの中でインターネットサービス部門を担うTメディアHDと、不動産や飲食事業などを展開するソウ・ツー(武田宣社長)が、サプリ販売など健康関連の新事業を展開する目的で昨年11月、共同出資して設立した。社長には、TメディアHD傘下でデジタルマーケティング事業を展開するアイ・エム・ジェイの大塚健史・上級執行役員が就いている。
5年後に年間50億円の売上げを目指す方針を表明している同社のサプリ販売手法とは、「医師・薬剤師監修のもと開発したインターネットシステム」だとする「Pitali(ピタリ)」を利用し、約70問で構成される「東洋医学の観点でユーザー体質の診断」をウェブサイト上で行った上で、DHA・EPA含有魚油や必須アミノ酸など17種のサプリの中からその人に適したサプリを提案・販売するというもの。スタートに合わせて記者会見を開き、様々な媒体が取り上げた影響もありそうだが、「来訪者数は期待値を上回っている」という。
商品単価は税別2500~4800円(30日分)。「空気に触れて酸化したりしないように」すべて1日分を個別包装するなどして品質の高さを訴求。製品ラインナップをみると、ビタミン・ミネラル類などのベーシック成分を主体としながらも、吸収効率を向上させる目的で黒コショウ抽出物「バイオペリン」を商品の大半に配合。ほかにも、特殊魚油原料の「アルガトリウム」、桜の花エキス、紅景天、ローヤルゼリーを加えるなどして特長を出している。
一方、これら商品を販売するに当たり、過去の成功事例はほとんど見られないオーダーメイドサプリ、同社流に言えば「マッチングオーダーサプリメント」の手法を導入したのはなぜか。「20~50代男女1000人を対象に調査した結果、健康食品を摂っている人の中で『自分の体や体調に間違いなく合っている』と回答した人は15人に1人の割合。そこに勝機があると確信した。健康食品市場は大きいのに満足していない人が多い」と同社。また、「『TSUTAYAオンラインショッピング』などを通じてインターネット通販を長年展開してきた強みがある」といい、これまでに培ったウェブマーケティングのノウハウを生かせると話す。
その一方で、同社ではCCCが培った情報リソースは活用していないという。だがCCCは過去、それを生かし、サプリや化粧品などヘルスケア商品の消費者提案に乗り出したことがある。08年に子会社を通じて始めた健康・美容に特化したダイレクトメールだ。TSUTAYA利用者データベースから属性に応じてターゲッティングした40代後半以降の女性に情報提供することで、販売会社に対し、ブランディングや販売促進に役立てて貰おうとした。
群雄割拠の健康食品通販市場の中で、5年で50億円の売上げを達成するのは難しいという見方も市場から出ている。しかし、個人情報保護を巡る規制は厳しくなる一方だが、「Tカード」の会員数は4800万人以上。上手く活用できれば現実味ある数字といえそうだ。