60周年を契機に温故知新で臨む 日本綜合医学会 杉山新理事長に聞く (2014.5.8)

日本綜合医学会理事長インタビュー

 3月23日、日本綜合医学会は総会を開いて第四代理事長に杉山親嗣氏を選任した。岩崎前理事長の急逝の後を継いで、記念すべき60周年を迎えた組織の運営を託された新理事長にその心構えと今後の方向性を伺った。

―先日の総会で理事長に就任されました、抱負からお願いします。

 杉山 60周年を迎える今年は例年より多くの事業が控えていますが、従来の方針を踏襲しながらの展開になるものと思っています。

―60周年、これは綜合医学会にとっても総括と再出発という意味で重要なものとなりそうですね。

 杉山 私が実行委員長として記念事業を遂行することになっていますが、温故知新で臨もうと思っています。古い物の中にヒントがあって、そこに改革というメスを入れないと物事は進まないと思います。60年という歴史を振り返える必要を感じます。歴史は先輩たちが作ってくれました。ここのところをもう一回見直さないとダメだと思います。そうすることで良い部分と悪い部分が分かります。悪い部分の中から新たな発見があります。良い部分は伸ばせばよいですから。

―振り返るには十分な60年ですね。

 杉山 ものすごいものが沢山詰まった歴史だと思います。綜合医学会の歴史は、食養の歴史全てです。広島大の先生が食と病気の関係を調べたデータがあります。そこでは洋食になるにしたがって、病気も同じパターンになっていく事が分かっています。農耕民族と狩猟民族のギャップが生じているのだと思います。要は民族性を大事にしてものを見ていかねばならないという事だと思います。農耕民族である我々の食性というものを見極めていくということですね。また、そのノウハウを他の民族にも提供することも大事です。

―具体的にはどういう事ですか。

 杉山 たとえばカロリー過多の問題です。人は一日1700㌔㌍くらいあればよいわけで、大食いはせず少食の勧めを広めるという事です。飽食の世界では、1㌔㌘の動物を飼うために10㌔㌘のエサを与えるようなことをしている。その餌を半分は食糧難の人に回せます。かつて甲田光雄先生が綜合医学会の会長時代に提唱しておられましたこの考えも、もっと声を大にして訴えたいことですね。

―ユニークな視点として子どもへの対応がありますね。

 杉山 なぜ子供かと言えば、大人に一生懸命説いても伝わらない。今まで良しとしてきた感覚から抜け出せないのが大人です。そこで子供さんを通して父母に訴えた方が早いのではないかと考えています。また、子供は8歳までの教育が大事。子供同士が遊ばなくなって意思のない子供が育っています。そのためには土から治さないといけない。土から犯罪が起きているとさえ思っています。

―食源病というのがありますが、食べているものの元である土に原因を求めるという事ですか。

 杉山 そうです。キチンとした子供を育てる環境を整えるには土にまで及ぶという事です。子供が変わっていく姿をみたら親も変わると思います。かつて、石塚左玄が「身土不二」「一物全体」と言ったように、植物の元は土壌づくりであるのです。その最たる食品が玄米です。玄米の中にはバランスのとれた栄養が含まれています。おいしくないという理由でみなさん玄米を食べませんが、子供さんを通して玄米菜食の素晴らしさが伝わればと思っています。

―確かに一時期に比べて玄米菜食という事を聞かなくなりましたが、綜合医学会の根幹はコレですからね。

 杉山 60周年のポイントになる年に理事長に就任して今あらためて思うことはやはり、健康な植物の「玄米食」を「菜食」で「小食」で「素食」でとることを各自が意思をもって習慣化する事だと思っています。今年度の事業計画の中にも、これらの考えを基にした様々なことが盛り込まれています。注目して見守り頂ければと思います。

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