腸内細菌 疾病に関連 日本プロバイオティクス学会(2014.5.22)
プロバイオティクスの最新の知見を報告するシンポジウムが15日、東京・霞が関の三井プラザホールで開催された。最新の遺伝子解析法により疾病との関連性が見出された腸内細菌が報告されたほか、昨年健康保険適用された疾病「機能性ディスペプシア」に乳酸菌が有効である可能性などが示された。主催は日本プロバイオティクス学会。
麻布大学獣医学部教授の森田英利氏は、遺伝子解析法のメタ16S解析により、アレルギー患者では腸内細菌叢の中でラクトバシラス属が減少し、炎症性腸疾患ではF.prausnitiziiが減少したことが認められたと報告。自閉症ではビフィドバクテリウム属が顕著に少なく、論文では他にいくつかの腸内細菌の増減もあると示した。また、腸内細菌叢は食事の種類によって急速に変化し、高脂肪食ではビフィドバクテリウム属が減少し、低炭水化物食ではバクテロイデスが増加すると説明した。
㈱明治食品開発研究所の大津俊広氏は、食後の胃もたれ感や心窩部痛などの症状がある機能性ディスペプシア(FD)に対し、LG21含有ヨーグルトが有効である可能性を報告。FDはピロリ菌も原因の一つとされているが、同ヨーグルトをピロリ菌感染者に摂取してもらったところ、FD症状の胃もたれ感や腹部膨満感が有意に改善。「ピロリ菌に感染しているFDには有用である可能性がある」とした。
このほか講演では、IBSに伴う内臓痛覚過敏へのプロバイオティクスの有効性、腸管透過性亢進で引き起こされる肝臓や胆嚢、膵臓疾患への予防効果などの発表が行われた。
【写真は㈱明治食品開発研究所の大津俊広氏】