機能性表示「販売者の義務」 通販協が新制度で討論会(2014.5.22)
日本通信販売協会(JADMA)のサプリメント部会(山田英生部会長・山田養蜂場代表)は8日、都内で健康食品など食品の新たな機能性表示制度の行方をテーマにした討論会を開催した。JADMAは消費者庁の「食品の新たな機能性表示制度に関する検討会」(松澤佑次座長・大阪大学名誉教授)に、同協会理事の宮島和美氏(ファンケル代表)を委員に送り出すなど制度検討の一翼を担っている。この日は宮島理事から検討状況の説明が行われたほか、業界としての今後の対応や課題などについて意見が交わされた。
後半に行われたパネルディスカッションには、山田部会長、矢頭徹副部会長(やずや代表)、宮島和美氏らが登壇。新制度の実現によって、科学的根拠に基づく食品の機能性を消費者に正しく伝えることが可能になることは、「消費者の知る権利に応えるために販売者に課せられた義務」(山田部会長)であるとの認識を共有した。一方で、健康食品に対する社会の目の厳しさには、「安心・安全についてはできる限りのことをしている。100点満点はスーパーで売られている食品も不可能」(同)、「健康食品の品質管理はこの10年でかなり厳しくなっている」(矢頭副部会長)と、業界として安全や品質管理の取組に力を注いでいると反論。「(業界を)性悪説ではなく、性善説でみてほしい」(同)と求めた。
消費者庁の検討会の議論について宮島氏は、「健康食品の機能性表示を解禁する」と発言した、昨年6月の安倍首相会見を持ち出し、「(安倍首相の発言から)トーンダウンしてはいけない」と語り、米国制度よりも厳しい制約や規制が課せられる可能性をけん制。さらに、消費者庁の検討会のメンバーに流通関係者がいないことや、保健機能成分の定義や範囲が不明だと指摘し「言葉だけで議論が進んでいる」ことに懸念を伝えた。同氏は7月までに取りまとめを行うという検討期間についても「延長しても構わない」と指摘、もっと議論を深めるべきと主張した。
一方で、GMP(適正製造規範)による品質管理や同協会が導入しているサプリメントの登録制などの必要性も強調し、「我々の(社会的)義務もきちんと遂行していかなければならない」と身を引き締めた。
【写真はパネルディスカッションの様子。左から司会の成松義文ファンケル顧問、山田英生部会長、矢頭徹副部会長、宮島和美JADMA理事】