【素材探訪】マカに新たな有効成分(2014.5.22)
滋養強壮素材の「マカ」を巡り、変わったことを言い出した先がある。
マカに含まれる生理活性成分として最も良く知られているのはベンジルグルコシノレートで、その含有量を規格化したマカ抽出物が多く供給されている。一方で、それとはまったく別の有効成分の存在を強く主張しているのだ。
その有効成分とは、マカマイド」、そして「マカイン」の2つ。どちらもマカに含まれる不飽和脂肪酸の一種である。
この2つがマカの生理活性成分だと訴えているのは、高い薬効を持つ植物を探し回り、〝メディシン・ハンター〟の異名を持つクリス・キルハム氏。先月18日、都内で来日講演を行い、「ベンジルグルコシノレートはマカの有効成分として日本以外では知られていない」などと述べた。
南米ペルーからのマカ輸出量最多国は長く米国だが、キルハム氏はそのきっかけをつくった人物といわれる。
1990年代後半、米国で最も早くマカ抽出物を市場投入したとされる米ピュアワールド社。キルハム氏によると同社にその製品化を進言したのが同氏で、「(ピュアワールドが上市したことで)米国にマカが広がってイムバランスいった」と昨年9月の弊紙取材に答えている。
◇
マカマイドとマカインの含有量を規格化したマカ抽出物を、ピュア社は市場投入開始時点から供給していたようだ。
その抽出物の投与で性活動(Sexual Behavior)が最大4倍に高まったとする動物試験結果が、2000年に論文発表されている。また、02年にはスタミナ上昇作用が同じく動物試験で示されている。
これらの知見に基づき、マカマイドとマカインがマカの有効成分だとキルハム氏は主張しているのだが、そう訴えているのは同氏だけでない。キルハム氏を製品開発アドバイザーとして抱える植物抽出物世界大手の仏ナチュレックス社も同様である。
同社では05年にピュアワールドを買収し、米国で最も売れたマカ抽出物ともいわれる「マカピュア」(マカマイド・マカイン規格品)などマカ抽出物をラインナップに加えることになった。これにより、欧州でもマカが知られるようになったともいわれるが、その日本市場への拡販に昨年から乗り出している。
「マカピュア」が日本で過去販売されたことは、ピュアワールドが取り扱っていた時代は未確認だが、これまでにない。それがマカマイドとマカインが日本で知られていない理由と思われるが、ほかにもある。恐らく特許である。
両成分を含有し、性機能向上作用などを有すマカ抽出物に関する特許をナチュレックスが保有している。もともとピュアワールドが03年に米国で成立させていた特許で、これが障壁となり、両成分の日本での認知がほとんど進まなかった可能性がありそうだ。
◇
ベンジルグルコシノレートとマカマイド、マカインのどちらが優れるかを論じるのはこの記事の目的でない。ただ、日本にとって後者の成分は、すでに消費者認知度が高く、市場も安定しているマカを巡る新しい話題だと言えそうである。
ナチュレックスではマカマイドとマカインを訴求し、日本のマカ市場の一層の拡大に向けて一石を投じたい考え。提案ターゲットは、「女性も」だという。
今回の素材=マカ抽出物「マカピュア」▽製造元/仏ナチュレックス社▽原材料産地/ペルー▽規格成分/マカマイド・マカイン合計0.6%以上