送りつけ商法悪質化 行政指示に従わない場合も(2013.7.25)
国民生活センターは、注文した覚えのない健康食品を送るとの電話を受け、それを断ったところ、後に損害賠償請求書が郵送されてきて、キャンセル料を払わなければ法的手段に訴えると書いてあったとの消費者相談が寄せられたことを受けて、利用した覚えのない請求書は無視し、決して相手に連絡しないことや、不安なときは消費者センターに相談するよう、助言をまとめたリーフレットを作成した。
健康食品を巡るトラブルでは、昨年以降いわゆる「送り付け商法」が急増、都道府県や警察が摘発に乗り出すなど社会問題になっている。送り付け商法の手口は、消費者宅に電話で突然「注文を受けた健康食品を送る」と連絡し、それを断っても代金引換で送りつけてきたり、再度電話をかけてくるなど、強引かつ悪質な手法であり、トラブルを避けたい消費者が代金を支払ってしまい泣き寝入りしてしまう場合も多いとみられる。今回の損害賠償請求が送られてくるケースは、この送り付け商法の派生的な手口といえる。
こうした、送り付け商法を行う事業者の中には、摘発されても売り逃げを図るケースもあるようだ。埼玉県はじめ近隣6都県が今年6月に業務停止命令処分(6カ月)を下した東洋食品合同会社(東京都新宿区)は、行政指示に従わないまま、営業を完全停止した模様。6都県では、不実を告げて販売していた旨を購入者に伝えるほか、代金を返金するよう指示していた。
また、経済産業省九州経済産業局が7月に業務停止命令(同)を下した㈱健洋堂(東京都豊島区)では、命令前の6月30日付で「閉店させて頂く」とホームページ上に案内。電話も不通。同社が指示に従ったかどうかについて同局では、「個別の案件には答えられない」とコメントした。指示に従わない場合は100万円以下の罰金に処せられる場合もある。
一方、健康食品の送りつけを巡る警察当局の摘発事例はこれまでに3件。今年3月の山形県警を皮切りに、6月には岐阜県警と山口県警が都内および埼玉県内の電話勧誘販売業者を逮捕した。逮捕容疑は、山形と岐阜の事例では特定商取引法違反(不実告知など)だった一方、山口は薬事法違反(無許可販売)と容疑が重くなっている。未確認情報だが、警察省は各都道府県警に対して摘発強化を命じたとされる。