更新制採用など固有記号見直しへ 消費者委が了承(2014.6.12)
食品表示法の施行に向けた加工食品の表示基準を検討している、消費者委員会の「加工食品の表示に関する調査会」(宇理須厚雄座長・藤田保健衛生大学医学部教授)は5日、製造所固有記号制度の消費者庁見直し案を概ね了承し、今夏に予定する食品表示基準案に盛り込むことを決めた。同基準案はパブリックコメント手続きなどを経て、遅くとも来年6月の同法施行までに同庁が新基準として公表する。
同庁見直し案は、原則2つ以上の工場で製造する商品のみに利用を制限することや、固有記号使用の場合、消費者の問合せに応答する義務などを課す。さらに消費者も検索可能な新たなデータベースを構築し、現行の固有記号は一定期間後に廃止すること、固有記号は更新制とし、変更や廃止の届出を義務化する。いずれも4月17日の同調査会に示した案と同じ。
加工食品の製造所固有記号は、製造所所在地の表示を義務付けている食品衛生法の特例措置と位置づけられているもの。表示スペースや包装材コストなど問題もあるため、事業者が予め同庁に所在地情報などを届出ることで、記号などの代替表示が認められている。ただ、昨年発生した冷凍食品の農薬混入事件では消費者への情報提供が遅れたことで混乱が広がった面もあり、制度見直しが求められていた。
一方で、包装材コスト高に直結する事業者の警戒意識は強い。この日の調査会でも事業者の委員からは慎重な対応を求める意見があり、制度廃止を求める消費者や法律家などの委員との議論は並行線を辿った。
結局、座長提案でパブコメ時にはこれら委員の意見を盛り込んだうえで、同案を提示することになった。