義務化免除事業者は決着つかず 栄養表示基準検討(2014.6.12)

消費者庁外観

 栄養成分表示の義務化など食品表示法施行に向けた新基準作りを進めている消費者庁は、新たに脂質に含まれる飽和脂肪酸や、炭水化物の糖質や食物繊維などの内訳表示を可能にする新基準案をまとめ、5月29日に開催された消費者委員会の「栄養表示に関する調査会」に提案、了承された。

 同庁案によると、内訳表示は事業者が義務表示事項とは別に任意で表示できる。例えば炭水化物の場合、炭水化物の量を記載の上、糖質と食物繊維の量を炭水化物の内訳であることが分かるように記載する。現行規定は炭水化物の代わりに糖質と食物繊維の量をセットで記載することが認められているが、新基準では糖質と食物繊維の両を記載する場合は炭水化物の量の記載も必須となる。

 このほか、栄養成分表示を行う際の食品単位を現行通りとする同庁案についても了承された。100㌘や100㍉㍑、1包装当りの栄養成分量の記載がこれまで通り可能となる。ただ、米国で使用されている1食単位(サービングサイズ)の方が消費者には分かりやすいとの指摘があるため、1食当りの表示が望ましい旨を通知で示すことにする。

 また、表示順についても現行通り①熱量②たんぱく質③脂質④炭水化物⑤食塩相当量(ナトリウム)⑥ミネラル、ビタミンなどその他成分の順とすることが了承された。さらに、同庁の委託調査事業で分析法が確立されたミネラルのモリブデンを、新基準に規定する栄養成分(任意表示)として新規追加する。

 一方、栄養成分表示の義務化を免除する事業者の規模については難航した。同庁案は消費税の納税免除(消費税法第9条)に該当する、課税売上高1000万円以下の事業者を免除対象とすることを新たに提示し、これにほぼ全委員が賛同したが、事業者側の委員が慎重な議論を求めたため、調査会として結論を得るには至らなかった。

 これについて事業者側の委員は、表示義務化に向けた環境整備が見えないなどとして、マンパワーに欠ける中小零細企業の負担を懸念。一方、学識経験者の委員などは、昨年の栄養表示基準改正で新たに推定値での量の記載を認めたことなどから、企業の負担は軽減されているとの見解を示している。

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