富士化学、アスタキサンチン年産4トンへ (2013.7.25)
アスタキサンチン国内トップシェアの富士化学工業㈱(富山県中新川郡)は、今月から米国ワシントン州にアスタキサンチン製造工場の建設を開始し、来年7月に稼動する予定であることを発表した。工場の建設は、同州モーゼスレイク市にある100%子会社のアスタリール・テクノロジーズが担当。富士化学工業では、この新工場建設によりアスタキサンチンの年間生産量(純品換算)を4㌧にする。工場建設には約30億円を投資する計画。
同社の2011年までのアスタキサンチン年間生産量は0.5㌧だった。しかし、同年に米国のメルコーラ博士のメールマガジンや、同国で人気ナンバーワンの健康情報テレビ番組「ザ・ドクター・オズ・ショー」などで抗酸化作用をはじめとする多様な機能性が紹介されると、アスタキサンチンは一大ブームを巻き起こすほどの大ヒット素材となった。その後、欧州や中国でも認知度が高まり、世界的な需要増加を引き起こした。
同社では、この世界的な需要増加に対応するため、同年には生産量が天候に影響されるハワイ工場を閉鎖。密閉式のバイオリアクターで生産する、スウェーデンにあるグループ会社のアスタリールABの工場に生産ラインを集約するとともに増設を行い、12年2月には年間生産量を1㌧、同年10月には2㌧としていた。さらに、14年までに第2工場を新設し、4㌧にまで高める計画を発表していた。
今回の新工場建設は従来の計画に沿ったもので、依然として需要に供給が追いついていない状況から実施に踏み切った。新工場は2階建てで、約4万平方㍍の敷地面積を有する。スウェーデンの工場と同様に、密閉式のバイオリアクターでアスタキサンチンを生産する。