ネット取引を巡る相談4年で3倍 消費者白書(2014.6.26)


 政府は17日、2014年版「消費者白書」を閣議決定した。スマートフォンやタブレットの普及により利用が伸びているインターネットなどの通信販売による消費者トラブルが大幅に増加していることを取り上げた。また、昨年相次いだ一部のホテル、百貨店の食品偽装表示や、冷凍食品の農薬混入事件などの食をめぐる問題では、景品表示法を改正し執行体制の強化を進めていることや、同法に課徴金制度を導入するための検討を進めているなどの対応状況について紹介した。

 インターネットを使ったBtoCなどの電子商取引は、05年の3.5兆円から12年には9.5兆円と2.5倍に拡大し、経済的に重要な位置づけとなっているとした。ただ、様々な商品が取引され利便性が高まる一方、10人に1人が過去3年間にネット取引でトラブルを経験していること、全国の消費生活センターに寄せられたネット取引に関する相談件数は、13年度で約5万件と、4年前の09年に比べ3倍に増加するなど、トラブルが大幅に増加しているとも指摘した。

 同年度のネット通販に関する相談内容をみると、最も多いのは洋服やハンドバックなど「被服品」で全体の41%に達する。これに腕時計やスポーツ用品などの「教養娯楽品」が26%で続いた。

 健康食品関係では、昨年6月に閣議決定された「規制改革実施計画」に基づき、食品の機能性表示制度の創設について取り上げた。ただ現在は消費者庁が検討会を立ち上げて検討中として具体的な中身には触れなかった。また、特定保健用食品(トクホ)申請時のヒト試験デザインを明確化するため、特定保健用食品の審査基準の通知改正を予定していることも触れたが、実施計画に盛り込まれたトクホの申請手続きの合理化、迅速化との関係には触れなかった。同じく栄養機能食品の対象拡大にも触れていない。

 なお、70歳以上男性や女性も年代が上がるにつれネット通販トラブルで健康食品が上位に上がってくること、SNSに関する相談で健康食品の無料サンプルを試すつもりが、定期購入になっていたケースがあったなど、健康食品に関するトラブルの多さも目立つ。

 一方、一昨年から昨年前半にかけて主に高齢者の被害や相談が増加した健康食品の送り付け商法(ネガティブ・オプション)についても取り上げ、13年度上期をピークに相談件数が減少傾向にあるとした。

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