食品表示基準案を提示 栄養表義務化へ 消費者庁(2014.6.26)

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 消費者庁は、食品表示法に基づく新たな食品表示基準案をまとめた。消費者委員会での検討内容を反映して策定したもので、加工食品の栄養成分表示では、現行基準の一般表示事項であるエネルギーやたんぱく質など5項目の義務化や、任意表示に新たに推奨という区分を設け、飽和脂肪酸と食物繊維を対象にする。加工食品では、製造所固有記号制度を見直し、2つ以上の製造所で製造する商品に使用を限るほか、消費者の求めなどに応じ製造所所在情報の提供を義務付ける。

 25日に開催した同委の食品表示部会で同庁が報告した。同部会では昨年12月から栄養表示、加工食品、生鮮・業務用食品の3調査会を設置して新基準の方向性や課題について検討を行ってきた経緯があり、新基準案は各調査会の検討内容を反映したものとなっている。同庁は来月にも新基準案を公表するとともに、パブリックコメント募集を行い一般の意見を聞いたうえで、同法の施行期日である来年6月までに基準として定める見通し。

 新基準案は、現行法制度では食品衛生法、JAS法、健康増進法の3法に分かれている基準を、用語の整理やルールを共通化して一つにまとめ、消費者と事業者の双方にとって分かりやすい基準になることを目指した。

 新基準における食品区分は、JAS法の考え方をベースに、加工食品(一般加工食品、業務用加工食品)、生鮮食品(一般用生鮮食品、業務用生鮮食品)、添加物に整理。それぞれで義務表示事項、表示の方式、禁止事項などについて定めてある。現在JAS法に規定している個別の品質表示基準があるものについては、個別の義務表示事項以外で横断的に表示方法が可能なものについてルールを統一化した。

 このうち加工食品に関する表示については、製造所固有記号制度の見直しを盛り込んだ。原則として2つ以上の製造所で生産される商品に利用を限定するほか、製造所所在地の消費者への情報提供を義務化する。情報提供の方法は、消費者の求めに応じ所在地情報を回答できる連絡先か、所在地情報を掲載したホームページなどのアドレス、製品にすべての製造所所在地を記載するかのいずれかの表示を選択できる。なお、同庁は消費者が製造所固有記号から所在地情報を検索できる新たなデータベースの構築や、同データベースへの移行のため、現行の製造所固有記号を一定期間後にすべて廃止し改めて届出ることや、有効期限を設けて更新制とすることも検討する。

 また、アレルギー表示についてもルールを見直し、これまでアレルゲンを含むことが予測できると考えられてきたマヨネーズ(卵)やパン(小麦)などの特定加工食品の拡大表記を廃止する。

 一方、栄養成分表示の義務化については、現行制度で一般表示事項となっているエネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム(食塩相当量)の5項目の表示を義務化する。対象は原則として消費者向けの加工食品及び添加物のすべてとするが、消費税法9条に規定する小規模事業者や業務用食品を販売する事業者などは対象から外す。また、国民の摂取状況などから表示の必要性が高い飽和脂肪酸と食物繊維については、任意表示のなかに新たに推奨の区分を設けて、積極的に表示すべき成分とした。

 このほか、特定の栄養素の強化や低減、無添加を表示する栄養強調表示については、コーデックスの基準や考え方などを採用して、強調表示をするための要件を見直した。

 新基準適用までの経過措置期間の案も示した。変更点の多さなどを考慮し加工食品は2年、添加物は1年の期間を設けるが、いずれも栄養成分表示については義務化に向けた環境整備などを考慮して施行後5年の猶予を見る。生鮮食品は経過措置期間を置かず即日施行とする。

【写真は25日の消費者委員会食品表示部会】

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