「栄養成分は対象外」 消費者庁が強硬姿勢(2014.7.10)
第7回「食品の新たな機能性表示制度に関する検討会」では、食事摂取基準が定められている成分は新表示制度の対象外だとする案を出している消費者庁食品表示企画課が、反対意見に対して強硬姿勢で迎え撃つ場面も見られた。ただ、対象外とする理由について、「ビタミン・ミネラル類は危ない」とも受け取れる発言をしており、今後、尾を引く可能性もありそうだ。
「米国でのダイエタリーサプリメント関連の有害事象報告のほとんどがビタミン、ミネラルの製品」──食事摂取基準のある栄養成分も対象となるよう前回会合に引き続き提案した関口洋一委員に対して同課はこう述べ、「消費者の安全性確保を第一とする観点から看過できない」などとして提案を退けた。
その上で同課は、「関口委員も事業者代表として当然、米国での実態をよく御存知の上で発言していると思う。それでも新制度の対象にすべきというのであれば、その合理的な理由を説明してもらいたい」と逆質問。対象外にする合理性がないと訴える関口委員を、安全性確保を後ろ盾に揶揄した格好だ。
一方、同課の発言に対して国立健康・栄養研究所の梅垣敬三委員が強く反論。報告が多い理由は「摂取している人が多い」からに過ぎないとした上で、「ビタミン・ミネラルが危ないという解釈は間違っている」と指摘した。
対して同課は、「危ないとは言っていない」と立腹気味に釈明。「そういう事実があると報告しているだけ。ビタミン、ミネラルを表示対象にした場合、同じことが起こるかも知れない」と持論を展開したが、梅垣委員は「だからその考え方がおかしい」と切り捨てた。同課は第5回検討会で、食事摂取基準が定められている栄養成分は新表示制度の対象にしない案を提示。「栄養政策上の観点から、国が管理する栄養機能食品、特定保健用食品制度で取り扱う」のが筋だとする理由を示した。これは、国の栄養政策の範疇に、食品の新たな機能性表示制度は加えたくない姿勢を明確に示したものといえる。
また、第7回検討会で同課は、DHA、EPAなど、摂取基準が現在定められていない成分で今後基準が策定された場合についても、「新制度の対象から外れる」との見解を示した。「そうだとしても栄養機能食品に追加されれば、特段問題はない」という。
一方、関口委員は、栄養機能食品制度で規定された表示以外の機能を示すエビデンスが得られた場合、その機能も訴求できるようにするため新表示制度の対象にすべきだと提案。欧米でも、栄養素の一次機能以外の第3次機能(身体調節機能)の表示が認められているなどとも訴えている。なお、この問題を巡っては日本ビタミン学会内にタスクフォースが設置され、議論が始まっている。