EPA・DHA摂取量不足を懸念 GOEDが指摘(2013.7.11)
「EPAとDHAは日本人にとっても重要な栄養素だが、近年では摂取量が減少傾向にあり、この問題を日本は国全体で認識する必要がある」──世界的に活動するDHA・EPAオメガ3業界団体の「GOED(グローバル・オーガニゼーション・オブ・EPA/DHA・オメガ3)」は6月20日、初の日本セミナーを都内で開催し、GOED代表のアダム・イズマイル氏はこう述べた。世界的に見て日本は、オメガ3の認識度、利用率ともに低いとしている。
イズマイル氏は、GOEDが独自に調査した日本でのオメガ3製品の利用状況を説明し、日本のオメガ3、DHA、EPAの認識は58%と他の先進国に比べて最も低く、利用しない理由として最も多かったのは「オメガ3を知らない」で60%だとした。逆に、最も認識度が高いのはブラジルと米国の98%、次いでスペイン、ドイツが96%、中国でも86%だという。
また、オメガ3の利用率を見ても日本は他国に比べて低いと指摘。オメガ3の摂取源としてサプリ、機能性食品、海産物を合わせた利用率のトップはロシアで77%。以下ブラジル69%、ドイツ63%、中国61%、英国55%、オーストラリア54%、米国51%と続くが、日本は30%だとした。
一方、同氏は「日本政府は世界に先駆け最大の摂取量(1日当たり推奨摂取量1000㍉㌘)を設定し、世界を先導している」として日本を高く評価。ただ、「日本人の魚の摂取量はここしばらく減少しており、EPAとDHAの摂取量も減少している。他の国と比べて推奨値を大幅に下回っている」と指摘した。
セミナーに登壇した㈱グローバルニュートリショングループの武田猛社長は、米国のDHA・EPAサプリメント市場はここ10年でおよそ10倍に成長し既に1000億円を超える規模の一方で、日本の同市場は同2倍の200億円程度だと話した。この差の背景について武田氏は「(DHA・EPAに関する)科学の情報量の違い」だとし、機能性に関する情報を伝えられない日本特有の事情があると説明した。
150名が参集セミナー大盛況
GOED日本セミナーの事務局を務めた㈱グルーバルニュートリショングループによると、セミナーには業界関係者など約150名が聴講に訪れた。「まだ決定していないが、2回、3回と続けていきたい」と話している。
同セミナーの後援にはDHA・EPA協議会のほか農林水産省がついた。また、セミナー協賛企業として、クリルオイル製造販売のアーカー・バイオマリン、微生物由来オメガ3を供給するDSMをはじめ日本水産、マルハニチロ食品、味の素、キャタレント、アリメント工業、三生医薬が手を挙げた。
セミナーに登壇したのはほかに、1970年代に「魚を食べると頭が良くなる」と報告したことで知られる英インペリアル・カレッジ・ロンドン脳栄養科学研究所所長のマイケル・クロフォード氏、小児専門科医で米カリフォルニア大学アーヴァイン校医学部助教授のウィリアム・シアーズ氏ら。シアーズ氏は、オメガ3は「全ての臓器に対し年齢問わず必要な栄養素」だと述べた。