「酸化」と「魚臭」克服 純正まぐろ脱臭油(2014.8.7)
開発者インタビュー ㈱TAFF 伊藤芳則社長
㈱TAFF(静岡県清水市)は「純正まぐろ脱臭油」の開発に成功した。「酸化」と「魚臭」という弱点を克服したうえに、従来存在しないといわれていた「ビタミンK」も存在することが明らかになった。その結果、魚嫌いな人でも、スプーン1杯でDHA・EPAだけでなくビタミンA・D・E・Kを美味しく食べて摂取することが可能となった。その用途はサプリメントに限らず介護食や医療食にも及ぼうとしている。開発者で同社社長の伊藤芳則氏にその全貌を明らかにしてもらった。
①酸化の問題の克服(ハイブリッド抽出法)
特許取得したハイブリッド抽出法(無添加の真空・低温抽出法)が発見される以前は、魚油は非常に酸化しやすく、特に二重結合の多いEPAやDHAは二重結合の数が多ければ多いほど酸化しやすいというのが、学界や水産油脂業界の常識であった。
ハイブリッド抽出法で抽出した魚油はEPA・DHAの含有量が多いにも拘わらず、酸化し難いことが証明された。ネイチャー誌に投稿しプレシーディングオンラインで論文が公開されている。
過去の採油方法は、高温で大気と接触する為、抗酸化剤として、天然に含有されているビタミン類をすべて破壊してしまったため著しい酸化が起こり、それが魚油の性質であると誤って認識されてきたからである。
ハイブリッド抽出法により豊富に含まれる脂溶性ビタミン類がすべて含有されていることが証明され、今まで存在しないといわれてきたビタミンKも存在し、しかもK2の方がK1より多く含まれることが確認された。
これらのビタミン群がすべて、天然に存在しているので、食品として義務付けられている、原材料表示欄には魚油の表示のみで、他の添加物は不要の100%魚油のみの製品が完成した。従来の製法で採油された魚油を使用している製品は、ビタミンEを酸化防止剤として添加している。
②魚臭の克服(マトリックス脱臭法)
ハイブリッド抽出法の発見後、魚臭の軽減に取り組んだ。6年かけて改善に改善を重ね、遂に1日当りDHA、EPA推奨量を含有した食品であれば、パン、麺、ドレッシング等数々の食品に混ぜても、相当魚臭に敏感で魚嫌いな人でも、違和感無く美味しく頂ける調味・調理用魚油の開発に成功し、マトリックス脱臭法と名付けた。しかも、脱臭工程でほとんど有効成分が失われていないことも証明された。
マトリックス脱臭法とは、すべての脱臭効果のある製法や濾過材、物理法則を複合的重層的に組合せ使用するので命名したものであり、現在特許審査請求中である。
③トランス脂肪酸ゼロ
検出限界を0.5%としたトランス脂肪酸検査で、検出せずの結果を得た。しかしながら、昨年11月にFDAがトランス脂肪酸はゼロでなければ食品として許可しないとの方針を打ち出し、代替品が見つかる猶予期間後は、使用を禁止することになった。
翻って日本はトランス脂肪酸に対する規制のない国である。本当にこれで良いのであろうか?特に若年層は食習慣が著しく欧米化している現状では、憂えざるをえない。
④脂溶性ビタミンすべてを含有
(一財)食品環境検査協会の分析結果で脂溶性ビタミン4種が含まれていることが証明された。100㌘中に含まれる量は次の通りだ。
ビタミンA(レチノール)521マイクロ㌘、ビタミンD96.7マイクロ㌘、ビタミンE(α―トコフェロール)52.1㍉㌘、ビタミンK1 11マイクロ㌘、ビタミンK2 42マイクロ㌘。勿論オメガ3も40.1%含有していた。現在特許申請審査請求中のマトリックス脱臭法の成果である。この脂溶性ビタミンがすべて含有されていることが自然の証しであり、製法上ビタミン類がすべて破壊される従来の魚油サプリメントとの大きな違いである。
⑤新たな用途に展開
酸化の問題が解決し、臭いも料理に使えるまでに軽減されたことによって、サプリメントだけでなく、食品に添加してオメガ3を摂取したり、調味油としてドレッシング風に利用したりと用途が飛躍的に広がった。
開発当初から協力くださった栄養士のプロ養成75年の伝統校である学校法人食糧学院(佐藤浩理事長)の「長寿健康ベターエイジング研究所」(岡部敬一郎所長)から「クッキングDHAオイル」のウイークリーレシピーのパンフレットが公開された。(参照:里田まいさんのブログにも紹介され話題になった注目の調理油)管理栄養士や臨床栄養士の皆様方に学校活動を通して、クッキングDHAオイルの良さを認知して頂き一人でも多くの方に、魚食以上の健康増進効果を楽しんで頂ければ幸いである。
【写真は㈱TAFF伊藤芳則社長】