表示・広告ガイドライン年内に公表 消費者委建議(2013.8.22)

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 消費者委員会が1月に取りまとめた「『健康食品』の表示等の在り方に関する建議」の実施状況について、20日に開催された同委で、消費者庁、厚生労働省がそれぞれ説明した。建議から半年余りとあって、通知で対応可能な事項や消費者啓発は一部実施されたものの、制度見直しが必要な事項については検討中との回答が並び、実施はこれから。また、11年8月に同委が提言した特定保健用食品(トクホ)の許可更新制の導入について消費者庁は、現状では困難と回答した。

 建議は主に①健康食品の表示・広告の適正化や執行体制の強化②安全性に関する取組の推進③機能性表示に関する検討④消費者理解の促進――の4項目について、消費者庁と厚労省に対応策の検討や実施を求めた。

 このうち、建議で真っ先に挙げた、消費者庁案件の健康増進法に基づく虚偽・誇大な表示・広告ガイドライン見直しは、過去の指導事例等の収集や分析のうえ、景品表示法も含めた統一的な留意事項として取りまとめると同庁が回答。意見募集などの手続きを経て年内にも公表するとした。さらに、建議にあった具体的事例や間接的、暗示的な事例についても盛り込むほか、事例は適宜更新していく考えも伝えた。

 一方で、景表法の措置命令権及び不実証広告規制の都道府県への権限付与については、都道府県への意見聴取、立法化等を検討したが、結果として付与は困難と判断、都道府県の意思統一が図られた後に改めて検討する考えを伝えた。都道府県の意見聴取では、措置命令権の付与に賛成などの前向きな回答が21件あったほか、不実証広告規制の付与は賛成が37件に達した。比較的前向きな都道府県の回答が多いこともあり、委員からは柔軟な対応を求める意見が出たが、同庁からは明確な回答はなかった。
 このほか、健増法の表示・広告に関する適格消費者団体の差止請求権導入については、適格消費者団体へのアンケート結果を9月中にも取りまとめ、年内には一定の結論を得たいと伝え、現時点では導入するか否かの明確な回答は避けた。

 一方、同じく同庁所管の機能性表示のうち、栄養機能食品の対象成分拡大については、厚労省が来年度公布予定の「2015年版日本人の食事摂取基準」に基づいて検討する必要があるとして、成分の追加について直接言及はなかったが、今年度中に現行の食事摂取基準を基に、不足する栄養素や1日当たりの望ましい摂取量等について、予備的調査を実施することが伝えられた。

 トクホ関連では、有効性に関する試験デザインなど審査基準の明確化について、昨年度の同庁調査研究に基づき、今秋にも具体案を取りまとめ、同委専門調査部会などの議論を経て、通知改正すると回答した。
 このほか、2011年8月に同委が提言したトクホの許可更新制の導入については、制度創設時にあった同更新制度が、その後の規制緩和で削除されたこと、許可の適否については再審査で対応が可能であること、更新期間の設定について合理的な判断が困難だとして、慎重な検討が必要との見解を示し、事実上見送る考えを伝えた。

 なお、政府の成長戦略に盛り込まれた機能性表示制度の検討内容についても質疑があり、増田食品表示企画課長が「こういった科学的根拠を基に表示すべきであるというものは示していきたい」との考えを伝えたほか、消費者への情報提供について検討する必要があると回答した。

 厚生労働省が所管する健康食品の安全性については、医師会や薬剤師会を通じて、消費者に注意喚起を行ったこと、健康食品摂取と健康被害との因果関係の特定について、昨年度から3年間の計画で実施している調査研究の結果を待ってから検討すると回答した。
【写真は8月20日の消費者委員会】

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