新制度の見通し 消費者庁塩澤調査官が説明(2014.8.7)
消費者庁食品表示課の塩澤信良食品表示調査官は7月30日、「食品の新たな機能性表示制度に関する検討会」報告書の公表に合せて記者会見し、新制度について、施行日は今年度内であると正式に明言した。ただ、施行と同時に商品が市場に出回ることは否定し、あくまでも新制度の施行が年度内であるとした。また、新制度の詳細について示す通知や指針(ガイドライン)は、条文案の作成と同時並行で作成する考えを示した。
塩澤氏は新制度のポイントとして、事前に製品情報や科学的根拠を同庁に届出る事前届出制度の導入を挙げ、「事前に誰であっても情報にアクセスをし、本当にその機能と科学的根拠が一致するものなのかどうか、その辺を確認することができる。これは世界を見ても例がない」と語った。事前に届出る情報の中には有効性に関する科学的根拠情報も含まれており、これは制度検討に際し参考にした米国のダイエタリーサプリメント制度にはない。一方、検討会で対象から外れる可能性が検討された成分については、「(成分の条件は)定量的だけでなく、定性的にも最終製品で確認できることが条件。ある高分子のようなものは恐らく条件を満たさない」と語った。検討会では基原材料の特定が可能な低分子の成分については制度対象になり、基原材料が特定できないものや高分子の成分は対象外とする意見があった。同氏は具体的な成分は挙げなかったものの、少なくとも制度導入当初は報告書にある通り、定量的、定性的に確認できない成分は対象外とする可能性を示唆した。
このほか、病者対象の試験結果もレビュー対象に含めることができるかについては「基本的に病気の人は健康な方と一緒とは限らない」と語り不可とした。同様に、関節の痛みの緩和について確認した文献などの活用についても、難しいとしたが、この場ではいえないと付け加え判断を留保した。
一方、サプリメントの食経験の判断については、広く国内の一般的な店舗で何十年と販売されてきた商品であるなら、食経験情報として使えるとの認識を示した。
北海道が認定している「北海道食品機能性表示制度」(ヘルシーDo)など、他の表示制度との併用については「新制度とどう両立させるか詰め切れていない」と語り、今後検討するとした。
対象食品の範囲や形態については、砂糖を高含有するジュースは対象外としたが、砂糖以外の甘味料などを使う場合は対象となる可能性を示唆した。同様にナトリウムを高含有する調味料についてもケースバイケースだと語った。
なお、報告書は7月18日に示した報告書案から大きな変更はない。
【写真は7月30日の記者会見で質問に答える消費者庁食品表示企画課の塩澤信良食品表示調査官】