機能性素材開発など63題採択 農林水産省(2014.8.21)
農林水産省は「農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業」に基づく2014年度の新規研究課題63課題を採択した。同事業は農林水産業や食品産業の成長産業化に必要な研究開発を支援するため、13年度から実施している提案公募型の研究助成事業で、基礎から実用化に至る3ステージに分けて研究を支援する。
機能性食品に関する研究開発も多く採択され、基礎研究が対象となる「シーズ創出ステージ」では、採択11課題の半数にのぼった。このうち、慶應義塾大学薬学部を代表機関とする研究では、ストレス軽減作用を持つ生体防御タンパク質を同定し、それを増やす機能性食品の開発を行う。また京都大学は、高齢者の活力や気力低下、食欲低下など神経系の機能低下を改善する機能性食品の開発基盤を構築する。
ほかにも、魚油由来のDHAやEPAといったn‐3系脂肪酸の代替として、ラビリンチュラ類を用いた生産技術の開発(九州大学大学院)、酸化安定性の高い葉物野菜から抽出したオメガ3など脂質の抽出技術などの開発(北海道大学大学院)、ポリアミンを増強した納豆の開発と機能性研究(自治医科大学)、発酵食品セラミドの機能性解明(佐賀大学農学部)などが採択された。
応用研究にあたる「発展融合ステージ」は11課題。フラボノイド吸収促進作用を持つアンカー型イソマルトメガロ糖の酵素利用による生産技術のスケールアップ(北海道大学大学院)や、農産物のカロテノイド由来の抗酸化性評価を活用した栽培や育種への応用(京都府農林水産技術センター)などが採択された。
一方、実用化に向けた研究開発など「実用技術開発ステージ」は41課題を採択。摘果ミカンと茶生葉の揉捻加工を用いた高溶解フラボノイドの抽出技術の開発と、機能性素材や機能性飲料の開発(長崎県農林技術開発センター)などか採択された。