制度創設向け動き 機能性表示 来年度にも(2013.6.20)


 政府は14日、成長戦略(日本再興戦略)を閣議決定した。規制改革会議の答申にも盛り込まれていた「健康食品の機能性表示を可能とする仕組みの整備」は、「戦略市場創造プラン」のテーマの一つである「国民の『健康寿命』の延伸」の主要施策の一つに掲げられ、今後、消費者庁を中心に関係官庁などで検討が行われる見通しとなった。健康食品業界でも機能性表示実現へ期待が高まっており、業界団体の日本健康・栄養食品協会を中心に具体的な行動を見せ始めている。

 成長戦略に盛り込まれた、「健康食品の機能性表示を可能とする仕組みの整備」は、規制改革会議の答申の内容をほぼそのまま採用。「企業等の責任において科学的根拠をもとに機能性を表示できる新たな方策について、今年度に検討を開始し、来年度中に結論を得たうえで実施する」とした。検討にあたっては、米国のダイエタリーサプリメントの制度を参考にするほか、安全性の確保も含めた運用を可能とする仕組みであることも条件づけた。

 食品表示は消費者庁が所管しており、今後の検討は同庁を中心に、健康食品の安全性を所管する厚生労働省、健康食品と同時に農林水産物の機能性表示についても検討が求められているため、農林水産省も部分的に連携して検討が行われて行くことになる見通し。

 ただ、消費者庁は検討の進め方について「まだ決まっていない」(食品表示課)としており、実際にどのような体制で検討を行っていくか現時点ではまだ見えてこない。

 一方、健康食品業界では、規制改革会議のワーキンググループのヒアリングにも参加した日本健康・栄養食品協会が、来月5日と16日に東京と福岡で開催するセミナーで、同協会の方針を下田智久理事長自ら説明する。同協会はヒアリングで、健康食品成分と製品の第三者認証による機能性表示制度の創設を要望。製品認証にあたっては、GMP(適正製造規範)による品質確保、原材料の安全性確保をセットで審査、認証する仕組みを提案していた。

 業界内では、機能性表示について一様に好感を持って見守っているといった状態だ。実際にどのような検討を経てどういった仕組みになるのか定かではないことが影響しているとみられる。

 これに対し機能性表示に反対を表明する動きも出てきた。主婦連合会は12日、規制改革会議の答申は企業活動に軸足が置かれ、消費者目線が欠如しているなどとして、健康食品の規制緩和に反対する要望書を内閣総理大臣、消費者担当大臣などに提出した。要望では健康食品の機能性表示について、企業による自己評価を前提にした制度は、混乱のもとだと指摘。むしろ規制強化を求めている。

 消費者、業界双方にとってメリットがある制度というのはどういったものか。その参考として成長戦略でも取り上げられた米国のダイエタリーサプリメントは、人の構造や機能への影響に対し、十分な科学的根拠があれば企業の責任において機能表示が可能となっている。根拠法は1994年に成立した栄養補助食品健康教育法(DSHEA)で、GMPのほか、企業に健康被害情報の報告を義務付けている。また製品発売後30日以内にFDA(米食品医薬品局)に届出る届出制を採っている。もっとも弊害もあるようで、近年は製造施設の査察強化や新規サプリメント成分(NDI)ガイドライン化などの強化が図られている。

 また、DSHEAはサプリメントを食事の補充を目的にした製品などと明確に定義付けており、日本の健康食品のように一般的な食品形態の製品はサプリメントに入れていない。DSHEA自体がサプリメントの法制度という位置付けであり、国内でも制度検討するにあたり、改めて健康食品の定義の明確化や、健康食品の範疇などを定める必要があるといえる。

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