新制度 対応準備手探り 指針はいつ?(2014.8.21)

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 「食品の新たな機能性表示制度に関する検討会」の報告書が先月30日に公表されたが、新制度対応に向けた事業者の取り組みは依然、手探り状態を余儀無くされている。ただ、業績拡大の好機と捉えている企業はガイドラインのない中で暗中模索。原料事業者に対する文献収集の依頼が顕著に増加するなど、動きが慌ただしくなってきた。一方、販売会社と受託事業者にとっては、来年6月に施行される食品表示基準の製造所固有記号制度への対応も急務。「とりあえず機能性表示は様子見」という声も聞かれる。

最終的には「企業判断」か

 消費者庁が7月30日に公表した報告書はあくまでも新制度の大枠を示したもの。そのため、文献レビューに基づき機能性表示を行う場合のレビューの具体的要件や、身体部位に言及する表現はどの程度まで可能なのかなど、企業が対応準備を進めるために必要な情報が「よく分からない」(中堅原料事業者)ものとなっている。

 新制度の詳細に関しては今後、同庁がガイドライン(指針)として示す見通し。ただ、その時期については今のところ不明だ。また、機能性表示を行うために求められる要件や、条件の細目も含めた詳細が具体的に示されるとは限らず、「最終的には企業の判断」(コンサルタント)に委ねられる可能性がある。

 新制度の詳細を巡っては、業界の意向を提案する目的で、健康食品業界8団体が参画する健康食品産業協議会は先ごろ分科会を設置した。文献レビューや対象成分のほか、機能性表示の範囲などの細目について、業界案を取りまとめる。

 一方で企業側としては、ガイドラインを確認できないことには「具体的に動けない」(販売大手)のが実状で、「動いたところで二度手間になりかねない」(受託製造大手)との懸念も。「大手でも様子見が多い」(原料メーカー大手)のが現状だと言えそうだ。

「固有記号の対応が優先」

 しかし、様子見ながらも情報収集は熱を帯び始めている。

 「査読の有無に分けて論文を集めて欲しいと要望されている」(中堅商社)などと、文献レビューを見越した販売会社などからの引合いが原料事業者では増加。身体部位名を表示できる見通しになったことを受け、米国でも販売されている原料について構造機能表示例の収集・提供を要求する先も増え始めた。

 また、報告書公表以前からの動きだが、原料事業者の一部では今後の拡販が見込める原料で臨床試験に新たに着手。受託事業者でも、開発・製造から文献レビューや機能性表示の文言考案まで丸ごと受託できる体制づくりを進める企業も見られる。ほかの受託でも、販売会社が消費者庁に事前届け出するために必要な製造情報の提供準備を進めはじめた。

 他方で、販売会社と受託事業者にとっては、今月10日にパブリックコメントの募集が締め切られた食品表示基準への対応も喫緊の課題。表示変更の課題もあるが、なかでも見直される製造所固有記号制度では、従来開示する必要のなかった製造委託先の所在地情報を、商品パッケージに表記するする必要が出てくるためだ。

 「消費者から問い合わせがあった場合にどう対応していくかを早急に決める必要がある。お客さまブランドを傷つけるわけはいかない」。製造所固有記号制度について受託事業者大手はこう語り、それへの対応は機能性表示制度よりも優先されるとしている。

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