赤ブドウ葉エキス 医薬・健食で賑やかに(2013.6.20)
足のむくみ改善効果を期待できる赤ブドウ葉乾燥エキスを巡る動きが一般用医薬品と健康食品の双方で賑やかになってきた。同素材を有効成分とする内服薬「アンチスタックス」(第一類医薬品)をエスエス製薬が3日、発売開始。これを受け、素材認知度向上が期待できると見て、健食市場でも原料引き合いが活発化しつつある。
アントシアニンなどのフラボノイド類を含む赤ブドウ葉エキスは、赤ワイン醸造用ブドウの葉を原材料にする。血管を強化し、血流を促進させる機能があるとされ、これにより足のむくみなど静脈不全の初期症状を改善させる効果があるとして、欧州を中心にハーブ医薬品として利用されている。
一方で、日本では以前から健康食品として活用。佐藤製薬などが配合商品を市場投入してきた。
その中で厚生労働省は11年1月、有効成分として赤ブドウ葉乾燥エキス混合物を含む同薬を西洋ハーブ医薬品第1号として承認。赤ブドウ葉エキス含有製剤としては最も知られるもので、製薬大手の独ベーリンガーインゲルハイムが世界25カ国以上で販売している。同社グループのエスエス製薬では5年以内に年間売上高50億円を目指すとして、大型薬に成長させる構えだ。
これを素材認知度向上の好機と見た健康食品事業者が既に動きを見せている。スイス・フルタロム社製赤ブドウ葉乾燥エキスの輸入販売を90年代後半から進めていたアスク薬品では「(同薬の承認以降)引き合いが増えている」と話す。
同社製品はポリフェノール、アントシアニンのほか、トランスレスベラトロールが規格化されていることもあり、ここ数年で供給量は増加傾向。一方、同社としてもこれを機に拡販したい構えと見られ、昨年、同社原料の足のむくみ軽減効果を検証する臨床試験を日本国内で実施し、女性17名の被験者で有効性を明らかにしている。
原料の取扱いを新たに始める動きも見られる。医薬品向けに欧州で供給されていた赤ブドウ葉エキスについて、インデナジャパンと同社商業代理店のユニキスが原料供給を開始することがわかった。製造元の伊インデナ社が拡販に乗り出すことを決めたことで、日本でも供給できるようになったという。
同社らが供給するのは、フラボノイドを3%以上、アントシアニンを0.3%以上で規格化したもの。抽出方法は水抽出であり、インデナジャパンでは「ヨーロッパで医薬品として利用されているエキスと同等のグレード」と話している。