アピ、ネクストステージへ 揖斐川に新工場を竣工(2014.9.11)


 アピ㈱(岐阜県岐阜市)は3日、揖斐川工場敷地内に「ネクストステージ(NS)工場」を新たに竣工した。工場部分を計10エリアに分け、各々を完全独立工場として利用できる特殊なコンセプトを採用。顧客要求への柔軟性、より実効性の高いフードディフェンスの実行などが狙いで、次世代の基幹工場に成長させたい考えだ。

 健康食品受託製造を行う既存3工場(本巣、池田、揖斐川)だけでは手狭になったのを受け設立したもの。地上6階建てで、延べ床面積は約2万平方㍍。工場部分1~5階の中央に、物流センターと連結させた自動倉庫を装備し、各階2エリアずつ計10エリアの独立工場区画を設置した。投資総額は100億円となる見通し。

 1エリア当たりの面積は約1000平方㍍。まずは今年中に1エリアにスティック包装ラインを実装・稼働、来年8月までにソフトカプセル、ドリンクなどの製造ラインを3エリアに実装する。そのほかのエリアについては生産品目を具体的に決めていない。次世代事業を構築する中核組織として9月に正式発足させた「事業戦略室」が中心となり、顧客や市場のニーズを探りながら具現化していく計画だ。

 工場部分をエリア分けしたことで、例えば、特定企業の特定製品のみの受託製造で1エリアを利用したり、独立性の高さを生かして要求の厳しいハラール認証取得製品の原料加工から製剤化までを一つのエリアで行ったりできる。その他の各種認証についてもエリアごとに顧客の要望に応じて取得していくことが可能。また、工場の物流動線の中心に自動倉庫を据え、原料や製品の移動を自動化することで、人為的なミスの削減や異物混入などのリスク対策の実効性を高めている。

 同社は今後、既存工場の再編も視野に入れながら、今後3~5年を目途にNS工場の全エリアを稼働させる計画。これにより、既存の池田工場とほぼ同規模となる100億円の売上増を見込んでいる。

 同日には古田肇・岐阜県知事、宗宮孝生・揖斐川町町長など地元関係者らを招き、NS工場内で竣工パーティを開催。挨拶に立った野々垣孝会長は、「国内受託トップメーカーとして、21世紀をきっちり見据えてやっていきたい。そうした思いで『ネクストステージ』と名付けた。NS工場でもう一ランク上を目指す。健康産業は間違いなく成長する産業であり、その一翼を担うのがNS工場」だと新工場にかける意気込みを語った。

自由度高い10の独立工場

 「一つのエリアの中に原料から製剤までを一貫製造できる環境を整備できる。極端なことをいえば、一つのエリアがお客さまの専用工場になるかも知れない。(顧客の)要望に多種多様に応えられるようにした」──アピの野々垣孝彦社長は竣工パーティ後に開いた会見でNS工場の概念についてこう述べた。
 原料加工や製剤化から包装、物流までを結合できるシステムを持つ独立工場の集合体ともいえるNS工場は、健康食品業界では従来なかったもの。

 「生産部を中心に、営業も含めて当社社員の意見を採り入れて概念をつくった工場。新しいコンセプトをつくっていくという意味でも『ネクストステージ』という概念があり、いろいろな可能性を秘めていると思う」と野々垣社長は言う。

 また野々垣社長は、9月に新設した社長直轄の「戦略部隊」となる事業戦略室について、「NS工場の概念とリンクしている」と強調。「戦略コンセプトにNS工場をのせる。事業戦略室を通し、営業、生産などの関係部署が情報を共有しながら、今後のサプリメントのあるべき姿を問うていきたい、発信していきたい」とした。

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