消費者庁、届出は販売60日前に 機能性表示条文案(2014.9.11)
消費者庁は8月28日、来年3月末までの年度中に制度創設を目指す、食品の新たな機能性表示制度の条文案をまとめた。特定保健用食品(トクホ)や栄養機能食品と同じ保健機能食品の一カテゴリーにすることで、機能性表示が可能な食品に分類したほか、機能性表示を行う商品情報を販売の60日前までに消費者庁長官に届出ることや、制度対象となる食品の名称を「機能性表示食品」とする案を示した。案は今月26日まで国民から意見募集したあと、意見を反映して修正などを行ったうえで、消費者委員会に諮問する予定。
条文案は、食品表示法の食品表示基準へ収載するためのもので、制度の定義や義務表示事項、表示禁止事項などについて定めてある。内容は7月30日に公表した同庁の「食品の新たな機能性表示制度に関する検討会」報告書に沿ったものとなっている。食品表示基準は食品を加工食品と生鮮食品などに分け、さらにその中でも一般用と業務用に分けて規定しているが、機能性表示食品に関しては加工、生鮮とも一般用が対象となり、業務用は対象とせず条文はない。食品関連事業者以外の販売者等も対象外となるほか、そもそも同基準の対象外である外食も適用されない。
機能性表示食品の定義は「疾病に罹患していない者に対し、機能性関与成分によって健康の維持及び増進に資する特定の保健の目的(疾病リスクの低減に係るものを除く)が期待できる旨を科学的根拠に基づいて容器包装に表示をする食品」とし、さらに、事業者情報や安全性及び機能性の根拠情報、品質管理に関する情報、健康被害の情報収集体制などの必要事項を販売日の60日前までに消費者庁長官に届出たものとした。
一方、義務表示事項は、機能性表示食品である旨や機能性の内容、1日摂取目安量及び1日摂取目安量あたりの栄養成分量や機能性関与成分量、摂取方法などを義務付けており、いずれも届出内容をそのまま表示する。このほか、国の評価を受けていない旨の免責表示、摂取に関する注意情報なども義務付ける。さらに、報告書にはなかった「疾病に罹患している場合は、医師に相談のうえ摂取してください」との注意喚起表示も義務表示事項に加えた。
表示禁止事項では、疾病の治療や予防の効果を標ぼうする用語や、ビタミンやミネラルに関する機能表示は認めない。
加工と生鮮の条文案は基本的に同じ内容だが、加工食品にある未成年者や妊産婦などを対象に開発された商品ではない旨の義務表示事項は生鮮に求めない。これは、生鮮食品の消費を妨げかねないといった検討会での意見を反映させたもので、報告書にも表示対象から外すよう措置を求めていた。
食経験は条件設定せず
消費者庁は4日、食品の新たな機能性表示制度(機能性表示食品〈仮称〉)の条文案に関する説明会を都内で開催した。この中で塩澤信良食品表示企画課食品表示調査官は、販売60日前の同庁への届出制について「届出れば60日後に販売してよいわけではない。(同庁が)形式的にチェックし、受理番号を出してから60日後となる」と語り、企業等が提出した資料をチェックする期間がプラスされると説明した。さらにトクホや栄養機能食品との併用した表示は不可とした。
また、制度の対象外としている「栄養素の過剰摂取につながる食品」については、対象の栄養素を厚生労働省令にある脂質、飽和脂肪酸、コレステロール、糖類(単糖類又は二糖類で、糖アルコールでないもの)、ナトリウムとしたが、過剰摂取の条件は定めないとも付け加えた。
食経験については「米国でも食経験の科学的線引きは困難との記載がある」と語り、何を満たせば十分かとの条件設定は困難で「企業が適宜評価することになる」と語った。一方で「食経験に形状を限定する考えはない。サプリメントでも然るべき期間や販売実績があり、特段の健康被害情報がないなどの条件を満たせは評価に足りる」ともした。
【写真(右)は4日に都内で開催した説明会の様子】