漢方産業化推進研が政策提言へ 漢方を機能性食品に(2014.9.11)
農林水産省は8月29日、2015年度概算要求の「薬用作物等地域特産作物産地確立支援事業」で、14年度予算4億円から1億円増の5億円を要求した。漢方生薬などの原材料となる薬用作物の産地形成を促進するため、栽培技術の確立などを支援する。
概算要求に先立って、今年8月20日に都内で開かれた一般社団法人漢方産業化推進研究会の第一回会合で、白井正人・農水省農産部地域対策官は「昨年秋より実需者(漢方薬メーカー)と産地とのマッチングを行った結果、いくつかの産地で成約した。今年も10月~11月にマッチングを行う」と報告した。
マッチングが示すように、漢方の振興策で柱となるのは産業化だ。同研究会は今年5月に設立され、漢方の産業化をテーマに、薬草栽培から製品化、周辺機器開発、人材育成、海外展開など漢方のバリューチェーン構築に向けて、事業化支援、政策提言、調査研究などを行う。
研究会代表理事の渡辺賢治・慶応大学教授は「漢方薬産業成長のためには生薬・薬剤の薬価制度見直し、農業栽培技術の革新、農業人材の育成が課題」「機能性食品と化粧品向けの薬草産業を創出するには食薬区分を見直して、薬草の部位別安全性・有効性の研究推進が課題」と産業化への制度改正を求める。
研究会の法人会員はインテック、クラシエ薬品、コニカミノルタ、新日本製薬、三菱商事など16社。研究会は年内に漢方ニーズ調査を実施して、来年3月、国の実証事業への申請を行なう計画だ。
漢方の振興策については、自民党の統合医療推進議員連盟が今年7月22日に取りまとめた提言でも言及。「内閣官房の知的財産戦略推進本部などが日本伝統医療の国際的な活用を検討する」と提言した。
【写真は8月に開かれた漢方産業化推進研究会。左から渡辺賢治代表理事、南部靖之理事(パソナグループ社長)、河村芳彦理事(三菱商事執行役員)、澁谷耕一幹事(リッキービジネスソリューション社長)】