厚生労働省は9月21日、2016年の10月から11月まで実施した「国民健康・栄養調査」の結果を発表した。糖尿病が「強く疑われる者」が初の1千万人に達する一方で、「可能性を否定できない者」は100万人減少して1千万人となったほか、65歳以上の高齢者のうち女性の低栄養化傾向がさらに増加した。
厚生労働省が来年の通常国会への法案提出を目指す、改正食品衛生法の方向性などを議論する有識者懇談会の第3回会合が4日開催され、先月14日の初会合に引き続き、健康食品に関する発言が目立った。
機能性表示食品制度の改善に向けた消費者庁の取組みが進んでいる。政府が6月に閣議決定した規制改革実施計画を受けたもので、曖昧さが指摘されてきたガイドライン(GL)を補完する役割を担う質疑応答集(Q&A)は先月29日、実施期日を3カ月近く前倒す形で公表。同27日には、不備指摘までの所要日数の上限を「55日」とする届出手続の運用改善目標などを明らかにした。一方で届出の事後監視も強めている。今年度は60商品以上を対象に買上調査を行う。広告表示をめぐる初の行政処分の可能性も取り沙汰されている。
健康食品をめぐる〝岩盤規制〟と言っても差支えのない食薬区分(46通知)の運用見直しに政府の規制改革推進会議が乗り出す。会議を構成する医療・介護ワーキンググループ(座長=林いづみ弁護士)が、今期(17年7月~18年6月)の主要審議事項に取り上げることを先月19日までに決めた。狙いは機能性表示食品の対象拡大。専ら医薬品リスト収載成分が、一律に制度の対象外とされる現状を是正したい考えだ。
「販売するなと言っているに等しい」──厚生労働省と消費者庁が先月22日に都道府県などに発出した通知「プエラリア・ミリフィカを原材料に含む健康食品の取り扱い」をめぐり業界関係者からはこんな声も聞かれる。法的根拠はないものの、厚労省が求める製造管理などを事業者が行わない場合、製品の取扱い中止も含めた指導を行うよう求める厳しい内容だった。デオキシミロエストロールなど、女性ホルモン様作用を持つ成分の定量分析の実施も求められている。
消費者委員会は6日開催した本会議で、1日スタートした第5次消費者委員会の委員長に、新任委員の一人で、麗澤大学大学院経済研究科教授の髙巖(たか・いわお)氏(=写真)を互選により選任した。髙委員長は企業倫理研究の第一人者で、これまで日本ハムなど様々な企業倫理委員会メンバーを歴任。2008年には全米企業倫理コンプライアンス協会より、国際企業倫理コンプライアンス賞を受賞している。
農林水産省は8日、「食品産業戦略会議」(座長・中嶋康博東京大学大学院教授)の中間論点整理を公表した。この中で「健康」に関しては、将来の国内外市場に共通した商品差別化、マーケット深堀りのための重要な視点になるとした。11月にまとめる最終報告書にも盛り込まれる見通しだ。
打消し表示に関する事実上のガイドラインとも一部で見なされている「打消し表示に関する実態報告書」を今年7月に公表していた消費者庁は、打消し表示に関して新たな委託調査を行う。画面が小さいこともあり、表示をより見落としがちなスマートフォンに限定して消費者意識調査などを行うもので、打消し表示が見落とされる要因などを検証し、景品表示法上の考え方を整理するのが狙い。法執行に活用するものとみられる。
今年4月末時点で販売中の機能性表示食品は438品目にとどまることが、消費者庁が日本健康・栄養食品協会に依頼した調査でわかった。その時点で公表されていた届出は撤回23件を除き861件(252社)あった。販売中はおよそ半数に過ぎないことになる。販売実績が無かった届出は390件にのぼった。
リンゴの機能性表示食品の届出が大詰めを迎えている。青森県の「JAつがる弘前」が農研機構が作成したリンゴに関する研究レビューをベースに消費者庁に届出書類を提出していることがこのほど分かった。受理されれば果実類ではウンシュウミカンに続き2例目となる見通しだ。しかし、受理されるか微妙な状況だ。機能性表示食品の届出数は1051品目中7品目と極端に少ない。規制改革推進会議も指摘しているように、生鮮食品の届出拡大をどう検討するのか。ひとつの焦点になりそうだ。