健康食品通販のだいにち堂(長野県安曇野市)が国を相手取り措置命令の取消しを求めていた裁判で、東京地裁(古田孝夫裁判長)は3月4日午後、同社の請求を棄却する判決を言い渡した。
いわゆる〝妊活サプリ〟の広告表示を巡り、景品表示法に基づく措置命令が初めて行われた。消費者庁は3月10日、健康食品『マカミア』を販売するゼネラルリンク(東京都渋谷区)に措置命令を行い、発表。「授かり率が190%高まる」「私はこれで授かりました」などといった表示が優良誤認に問われた。
健康食品や化粧品の不当な定期購入契約に対する法執行を消費者庁が強めている。消費者トラブルの増加が止まらぬことを受けたものとみられる。昨年12月1日以降今月16日までに、通販会社など計4社に対し、勧誘や契約締結の業務停止命令を含む行政処分を行った。同庁では、「非常に詐欺的な、消費者を愚弄する手口で忌々しき問題。フェアな商取引をないがしろにもしている」と指摘する。
昨年6月公布の改正食品衛生法に基づき今年6月1日に施行される、主に健康食品を対象にした新たな食品安全確保規制「指定成分等含有食品制度」について、食品表示制度を所管する消費者庁は、新制度に合わせ、食品表示基準の一部改正を行う方針を固めた。指定成分等含有食品の容器包装に、指定成分等含有食品である旨、指定成分等とは注意を必要とする成分である旨──などの表示を義務付ける。1月16日に消費者委員会への諮問を行い、翌17日からパブリックコメントの募集を開始した。
4月以降、機能性表示食品の事後規制のあり方が大きく変わりそうだ。制度を所管する消費者庁は1月16日、昨夏から検討を進めていた機能性表示食品の「事後チェック指針案」を公表、同時にパブリックコメントの募集を始めた。同庁は指針を通じ、景品表示法など関係法令に基づく事後規制の透明性を確保するとともに、不適切表示に対する事業者の予見可能性を高める。その上で、企業や業界団体による自主的規制の推進や、エビデンスについて客観的な評価を行える第三者機関の取組みを支援していきたい考えだ。指針の運用は4月1日から始める予定。
消費者庁の2020年度予算案は、一般会計119.9億円となった。19年度比で1.5%(1.7億円)増額したものの、概算要求の段階から26.4億円の減額。定員についても31名を要求していたが、14名とされた。20年度は、「誰一人取り残さない」社会を目指した消費生活の実現、安全・安心な暮らしを守る体制の構築──などを重点事項の柱とする。
消費者からの相談件数が増え続けている健康食品や化粧品の定期購入に絡んだネット通販トラブルを巡り、消費者庁が関連事業者の是正に乗り出した。昨年12月25日、申し込むと定期購入になることが容易に認識できる表示を行っていなかったのは特定商取引法違反に当たるなどとして、都内のネット通販事業者2社に対し、業務停止命令を含む行政処分を行った。うち1社は少なくとも2018年度以降、5000件を超える相談が寄せられていた。
健康食品を100円でお試し購入できると勧めていたが、実際にはお試し購入すると定期購入になることを告げずに契約を結んでいたのは特定商取引違反に当たるとして、消費者庁は12月9日、電話勧誘販売事業者の財宝(鹿児島県垂水市)に対し指示処分を行い、同10日発表した。特商法第21条で禁じる商品販売価格などについて故意に事実を告げない行為を行っていたと認定したもの。今回の違反行為の発生原因などを検証し、結果を同庁に報告することなどを同社に指示した。
政府は「第2期健康・医療戦略」と「医療分野研究開発推進計画」の案を取りまとめ、12月14日から意見募集を開始した。募集期間は同月27日まで。保健機能食品制度の今後に直結しそうな項目としては、「免疫機能の改善などを通じた保健用途における新たな表示を実現することを目指す」ことが盛り込まれた。政府では意見募集終了後、今年度内の閣議決定を目指す方針。