今月9日公表された令和2年版消費者白書に、健康食品や化粧品の定期購入を巡る消費生活相談件数の増加が取り上げられた。相談件数は2015年以降、右肩上がりの増加傾向を見せ、前年(18年)は約2万2000件と2万件を突破していたなかで、19年は約4万4000件と前年の2倍に達した。定期購入に関する相談の9割以上がインターネット通販によるもので、健康食品、化粧品が占める割合はそれぞれ約6割、約4割になっているという。
2020年初頭時点では誰も想像すらつかなかった新型コロナウイルスの感染拡大。それを防止する様ざまな自粛によって、我々を取り巻く社会環境は一変してしまった。今月19日に都道府県をまたいだ移動自粛要請も全国的に解除されたが、「ウィズコロナ」「ポストコロナ」の時代は、今までとは違う日常を模索していく必要が求められるのだろう。健康食品業界も同じ。今のところ目立った影響はあまり感じられないが、実際はそうでもない。「免疫」を巡る状況が一変しつつある。
機能性表示食品制度が6年目を迎えた。一時は大きく停滞した届出公開件数の反転増加傾向は続いており、新規の機能性関与成分、ヘルスクレームの公開も多い。一般健康食品から機能性表示食品にシフトしようとする事業者は減っていないとみられ、サプリメント・健康食品市場に占める機能性表示食品の割合は今後も増えていく。2019年度の届出公開状況を軸に、制度のこれまでを駆け足で振り返る。そして今後を展望する。
消費者庁が6月8日に行った機能性表示食品の届出情報更新で、ヘルスクレームに「排尿」を含む届出が初めて公開され、業界関係者から驚きの声が上がった。機能性関与成分とされたのはキナ酸。「トイレが近いと感じている女性の日常生活における排尿に行くわずらわしさをやわらげる機能があると報告されています」との機能性表示が届出された。
健康食品産業協議会や日本通信販売協会など業界4団体が機能性表示食品に関する民間の第三者組織「エビデンスレビュー評価委員会」(以下、評価委)を立ち上げ、6月1日に運用を始めた。消費者庁が今年4月1日に運用を開始した機能性表示食品に対する事後チェック指針に関連するもので、表示する機能性のエビデンスに対する疑義が届出後に生じた場合、届出を行った事業者の依頼に基づき、同委員会でエビデンスの妥当性を評価、判定する。消費者庁は評価委の判定を適宜取り扱う。
2018年6月公布された改正食品衛生法に基づく、健康食品やサプリメントなど食品の安全性確保を目的にした新たな規制、指定成分等含有食品制度(以下、指定成分制度)が6月1日施行された。所管は厚生労働省。制度対象は厚労大臣が定める「指定成分等」を含む食品全般。施行日以降に製造された指定成分等含有食品に制度は適用され、まずは4つの植物由来素材を指定成分等として制度運用が進むことになる。健康食品・サプリメント市場や業界にどのような影響を及ぼすのか。
食品表示基準で規定されている栄養素等表示基準値のうち、ビタミンDの基準値の変更可否を検討するための調査事業を消費者庁が今年度に実施する。ビタミンDの強調表示が行われている一般食品や同成分を含む栄養機能食品の摂取状況を調べ、基準値変更の可否を検討するための基礎資料を得るという。調査委託先には、来年3月12日までに報告書を提出してもらう。
消費者庁が健康食品販売会社に対して昨年3月行っていた景品表示法に基づく措置命令。それを同庁が自ら取り消す問題が起きた。過去に例がないとみられ、景表法執行の動きをつぶさにウォッチしている業界関係者は驚きの声を上げる。処分によって社名などが公表され、メディアに広く報道される以上、「誤りがありました」は許されない。起きてはならないことが起こった。
食薬区分の専ら非医(医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質)リストに複数の成分が新たに追加されそうだ。食薬区分の運用を担当する厚生労働省医薬・生活衛生局の監視指導・麻薬対策課は、先月27日に食薬区分の一部改正案を示し、意見募集(パブコメ)を始めた。専ら非医としてアポエクオリンやヒトミルクオリゴ糖の一種など7成分を追加する考えを示している。
厚生労働省は食薬区分の一部改正を3月31日付で都道府県に通知し、これまで医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(非医)として扱ってきた計11の植物由来物について、専ら医薬品として使用される成分本質(専ら医)に区分変更した。昨年11月公表の改正案通りに改正する形となった。専ら医に区分変更された植物由来物は流通実態があるのかはっきりしないものが大半だが、今後、健康食品など食品に使用できなくなる。