食薬区分や機能性表示食品制度の運用改善などを盛り込んだ今後の規制改革に関する答申を、政府の規制改革推進会議が4日に取りまとめ、安倍晋三首相に提出した。答申を踏まえ、近く、政府は工程表を定めた規制改革実施計画を策定し、閣議決定する。首相官邸によると、安倍首相は答申を受け、「規制改革こそアベノミクスのメインエンジンだ」と述べた。
届出受理済み機能性表示食品の変更届を行う場合、機能性関与成分の分析試験方法に関する資料開示を行う変更も併せて行わないと、変更届を受理しない制度運用を消費者庁食品表示企画課が進めている。3月28日に施行した第三次改正ガイドライン(GL)に基づく運用だが、分析方法資料の開示を急ぎたい考えも透けて見える。一部マスキング(黒塗り)した上での資料開示も認められているが、その必要性を同課が納得しなければ、変更届が何度も差し戻される事態に陥ることにもなりそうだ。
機能性表示食品は「事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示したものである」と正しく認識していた人は15.3%にとどまる──消費者庁が昨年度の委託事業で行った食品表示に関する消費者意向調査で、こんな結果が出た。「国が審査を行っている」や「製品にマークが表示されている」といった誤った答えを選択した人はそれぞれ19%、12.5%に上る。消費者に機能性表示食品制度の正しい理解が広がっていないことが窺われる。
厚生労働省は5月31日、「日本人の食事摂取基準策定検討会」(座長・伊藤貞嘉・東北大学大学院医学系研究科教授)の第2回会合を開催し、2020年版食事摂取基準の策定方針を決定した。対象者に高齢者のフレイル(低栄養化)を追加するなど、高齢者対策に重点を置く。また、現行の15年版食事摂取基準で初めて記載されたレビュー方法など、エビデンス関連の信頼性もさらに向上を図る考えだ。今後はWG(ワーキンググループ)を設置して、具体的な検討に入る。食事摂取基準の見直しは、健康食品業界にも影響を与える。今後の議論の成り行きが注目されそうだ。
消費者庁は、母乳の代わりになる乳児用液体ミルクを特別用途食品に認めるための許可基準案を15日までにまとめた。近く、パブリックコメントを行い、今秋までを目途に、乳児用液体ミルクを特別用途食品に追加する消費者庁告示と施行通知を発出する予定。早ければ年内にも、企業からの許可申請を受け付けられるようにする。
消費者庁は16日、「スマートフォンにおける打消し表示に関する実態調査報告書」を公表した。健康食品分野では、Webアンケート調査の回答1000件のうち、68~81%が打消し表示を見落としているとした。消費者庁では昨年7月14日に「打消し表示に関する実態調査報告書」を公表しているが、同調査はテレビ、紙媒体などが対象で、今回は近年、急速に増加しているスマートフォンの商品・サービス表示を対象としたもの。
内閣府総合科学技術・イノベーション会議の「バイオ戦略検討ワーキンググループ」(座長・篠崎一雄・理化学研究所環境資源科学研究センター長)は4月26日、第4回会合を開き、バイオ戦略の素案をまとめた。保健機能食品制度を背景にした農産物(生鮮食品)のヒト介入試験プロトコールの開発などが盛り込まれる見通しとなった。7月にも中間報告としてまとまる見通し。
経済産業省は4月25日、「平成29年度電子商取引に関する市場調査」を発表した。健康食品についても触れ、「「BtoC‐ECによる売上が着実に拡大している」とし、「健康食品のメインユーザーである高齢者が、ネット購入に移行している」ことが要因だと分析した。また、中国の消費者が越境ECによって日本から購入する額は、前年比25.2%増の1兆2978億円と2017年も2桁台の高い伸びを示した。
体脂肪を巡るトクホのヘルスクレームに多用されている「気になる(方に)」。この表現が今後新たに認められることはもはやないだろう。それに代わって今後認められるのは、摂取対象者をより正確に表現した「体脂肪が多めの方に」。「気になる」で許可を取得した企業の中には、パッケージ表示を変更する動きも出ている。