疾病リスク低減型の特定保健用食品(トクホ)に関する調査事業を来年度(2019要求に新規調査事業として予算を計上しており、認められれば調査に乗り出す。トクホと機能性表示食品のすみ分けが課題になっていることもあり、機能性表示食品では認められていない疾病リスク低減表示の運用拡大を視野に入れた調査事業となりそうだ。
尿酸値を下げる働きをヘルスクレームにした機能性表示食品の届出を消費者庁は3日までに受理し、届出情報を公開した。トクホも含めて初の機能性表示。これまでにも複数の企業が届出書類を提出していたが受理されず、現状では届出困難ともみられてきた。今回受理された届出では、機能性に関する科学的根拠論文(最終製品臨床試験)の被験者について、血清尿酸値が7mg/dL以内の人を対象にしている。
消費者庁が昨年度実施した機能性表示食品に関する委託調査・検証事業「届出後における分析実施状況及び健康被害の情報収集」に関し、同庁は先ごろ報告書を公表した。報告書は有識者らがまとめたもので、届出後の機能性関与成分などの分析実施状況がほとんど公開されていないと指摘。現状、公開は任意だが、積極的に情報公開する姿勢を届出企業に求めている。報告書を受け、同庁は今後、届出ガイドラインやQ&Aの改正を検討する見通し。
東京都による2017年のインターネット広告監視の結果、機能性表示食品を含む健康食品181件が改善指導を受けた。景品表示法の観点から調べたもので、摂取するだけで痩身効果が得られるかのような表示を問題視した。健康食品の「定期購入」を巡る相談件数も引き続き増加しているという。17年度は前年度から約200件増え、1743件に達した。
消費者庁は7月27日、昨年12月の特定商取引法の一部改正で新たに設けた個人への行政処分を初めて適用した。ガンや認知症に効果があるなど虚偽の説明をして健康食品「還生源」を販売していた電話勧誘販売業者の健楽園(東京都豊島区)に対し、特商法が定める商品の効能に関する不実の告知及び契約書面の交付義務違反にあたるとして、3カ月間の業務停止(勧誘、申込受付及び契約締結)、併せて業務を統括していた実質的な経営者にあたる同社部長に対し、3カ月間の業務禁止を命じた。
厚生労働省は1日、「第1回食品の営業規制に関する検討会」(座長・五十君靜信・東京農業大学教授)を開き、改正食品衛生法で盛り込まれた営業許可制度の見直し、届出制度の創設について、具体的な検討を開始した。11月中にも原案を作成する予定で、12月まで全国ブロック説明会や意見募集などを行った後、来年2月には取りまとめを行う見通し。これまで許可業種に該当しなかった健康食品関連事業者がどう扱われるのか。議論の行方が注目される。
健康食品の広告監視に関する研究を行った白神誠・帝京平成大学薬学部教授が7月30日、本紙の取材に応じ、18年度も引き続き研究を進める計画を明かした。白神教授を代表者とする研究班は、医薬品医療機器等法(薬機法)の観点から健康食品の広告を調査している。注視しているのは、単に医薬品的な効能効果を標ぼうしているかどうかではなく、有効性を訴求する健康食品の広告を信用した消費者が、適正な医療を受ける機会を損なっている可能性だ。
今年度の機能性表示食品の届出受理件数が例年と比べて大幅に減少している。今後もこのペースで進めば、今年度の受理総数は200件を下回り、過去最低を更新することになる。そのうえ、届出の撤回が増加傾向にあり、実質的な届出件数の伸びも大きく鈍化。加えて撤回件数はさらに増える可能性がある。ここにきて消費者庁が、機能性関与成分に関する検証事業に基づき、追加資料の提出などを届出各社に求めているためだ。
昨年度の厚生労働省科学研究費補助金(厚労科研費)で健康食品広告を巡る研究が行われ、研究チームは報告書で、医薬品医療機器等法(薬機法)に基づき無許可医薬品として取り締まることも考慮すべきだと提言した。広告に誘発されて健康食品を使用した結果「健康被害を生じている事例があるのであれば」との前提条件を付けてはいる。ただ、健康食品の摂取で体調不良を感じたことのある人が一定の割合で存在しているとも指摘する。