届出公表までに1年以上かかるケースも頻出している機能性表示食品制度の運用改善に向け、政府の規制改革推進会議が動き出した。14日に開催した医療・介護・保育ワーキンググループ(WG)の会合で、出席した消費者庁担当課に改善策を講じるよう強く要求したようだ。同じく会合に出席した日本通信販売協会は、現状では販売戦略すら立てられないとして、届出書提出から60日以内の公表を訴えた。
安倍政権による農産物の国際競争力強化のプランがこのほど固まった。焦点の農協改革は議論の余地を残したものの、TPPの動向に関係なく、日本の新たな輸出産業として、農林水産業分野を育成していく方針だ。機能性表示食品制度は今後、そのひとつの鍵になっていくことが想定される。
農林水産省は農産物の国際競争力強化を図るため、来年の通常国会にJAS法(農林物資規格化法)改正案を提出する方針を固めた。従来の品質確保に加えて、新たに特長をアピールできるよう、法律の目的に追加する。機能性表示食品制度の届出を支援するため、分析方法の規格化なども盛り込む考えだ。
消費者庁が特定保健用食品(トクホ)の制度改正を行う。初の許可取消し処分に至った「関与成分」問題を受け、再発防止には制度に手を付ける必要があると判断。販売中のトクホについて、第三者機関による関与成分量の定期分析を法的に義務付けるなど、許可後の事後チェック体制を強化する。事業者負担がさらに増すのは必至だ。
機能性表示食品の届出について、昨年4月の制度施行以来の消費者庁への届出書類提出件数は既に1300件台に達し、そのうち受理に至らない未処理案件が800件超も存在することが、今国会で明らかになった。6日現在の届出総数は自主撤回分も含めて562件。
今年1月に始まった消費者庁の「機能性表示食品制度における機能性関与成分の取扱い等に関する検討会」は、追加会合も含め全11回の会合をこのほど終え、現行制度で対象外とされている糖質・糖類、機能性関与成分が明確でない食品(植物エキス等)を今後、条件付きで制度対象に組み込むことで最終的に合意した。ただ、ガイドライン改正作業に長期間を要することなどが予想されるため、施行時期を見通すのは困難な情勢。業界からは、早期施行を望む声があがる一方、施行後の混乱を避けるためにも慎重に取り組むべきだとする意見も聞かれる。
厚生労働省は14日、2015年の「国民健康・栄養調査」結果を公表した。今回の調査で初めて、栄養成分表示に関する消費者意識をまとめたほか、栄養素摂取の年次推移も公表した。同省では国民の健康意識の高まりを背景に、状況に即した調査内容の充実と同調査をベースにした施策の展開を急ぐ考えだ。
米大統領選の影響でTPPの動向に注目が集まる中、経済産業省と農林水産省が取り組む「農商工連携・6次産業化」が、ここにきて活発な動きを見せている。機能性表示食品など健康食品がひとつの起爆剤となりそうだ。
いわゆる健康食品から特定保健用食品、さらには特別用途食品まで、品質管理に関わる課題がここにきて顕在化している。植物エキスなど抽出物を、制度対象に条件付きで正式に加える方向となっている機能性表示食品でも、その追加を巡る議論では品質管理に焦点が当てられていた。そこにぶつけるがごとく浮上してきたトクホの関与成分量など一連の問題。機能性表示食品の届出ガイドライン改訂作業を今後進める消費者庁の意識に影響を及ぼしたのは間違いないといえそうだ。企業責任による品質管理のあり方が問われている。
消費者庁と農林水産省の「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会」(座長・森光康次郎お茶の水大学大学院教授)が11月2日に開かれ、中間取りまとめを行った。